2003 Fiscal Year Annual Research Report
酸化亜鉛量子ドットにおける励起子超放射の解明と長い励起子コヒーレンス長の可能性
Project/Area Number |
14740182
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
山本 愛士 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (10261546)
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Keywords | 酸化亜鉛 / 励起子 / 量子ドット / 発光スペクトル / 吸収スペクトル |
Research Abstract |
酸化亜鉛(ZnO)は、ワイドバンドギャップ半導体で、励起子結合エネルギーが大きく室温でも安定に存在することから、量子ドットにおける励起子の振る舞いを調べるのに適した材料である。また、環境にもやさしい物質であるので励起子状態を利用した紫外波長領域の光学材料としても有望視される。本研究では、ZnO量子ドット中の励起子状態を調べるために、ゾルゲル法によりZnO量子ドットを分散したシリカ膜を作製した。作製条件を最適化することで、吸収スペクトル測定が可能な透明な薄膜を作製することに成功した。また、濃度を自在に変えられる手法を確立した。試料のx線回折測定及び透過電子顕微鏡観測により、良質なZnO結晶の量子ドットがシリカ膜中に分散していることが確認された。オプティカルチョッパーを用いたロックインアンプによる検出法により吸収スペクトルを測定したところ、励起子による吸収ピークが明瞭に観測された。吸収ピークエネルギーが量子閉じ込め効果により高エネルギーシフトしていること、スペクトルがZnOの結晶の異方性を反映していることがわかった。次に発光スペクトルを測定したところ、紫外波長領域に複数の鋭い発光ピークが観測された。量子ドットの周りに表面保護剤がある場合とない場合で発光スペクトルに大きな違いはなく、量子ドット内の発光であることがわかった。発光の量子ドット濃度依存性に励起子コヒーレンス長の関与が示唆される結果を得た。さらに、発光スペクトルの温度、励起強度依存性および短パルスレーザーを用いた時間分解発光スペクトルを詳細に調べ、発光メカニズムについて議論した。
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