2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740187
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
三宅 隆 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (30332638)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 電子構造 / 密度汎関数法 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブは、わずかなトポロジーの違いにより半導体から金属まで多様な電子状態を示すことから電子デバイスへの応用が期待されている。その電気的特性を更に変化させる方法として、原子、分子、あるいはクラスターを挿入することが考えられる。そこで我々は、カリウム原子鎖の入ったナノチューブの電子構造を密度汎関数法により計算した。その結果、通常フェルミ準位の3-4eV上に位置するナノチューブの自由電子的状態がカリウムの4s軌道と混成し、ナノチューブの直径に応じてそのエネルギー準位が変化することを見いだした。特に、大量合成が可能な直径1nm付近の系では、混成軌道がフェルミ準位を横切り伝導に寄与することがわかった。続いてC60フラーレン内包ナノチューブ(ピーポッド)を調べた。実験で作成可能な直径をもつ半導体ピーポッドを計算した結果、この場合にも自由電子的状態が内包されたC60のLUMO軌道と混成し、半導体のギャップの値に大きく影響することがわかった。 本課題のもう一つの目標は、カーボンナノチューブにおける電子間相互作用を調べることである。そのための手法として、本研究では、動的な遮蔽効果を乱雑移送近似(RPA)で見積もるGW近似を用いる。ナノチューブへの適用を見据えて、本年度は、グラファイトとの類似性が見られるCaB6の電子構造を調べた。その結果、通常の半導体とは異なりCaB6では密度汎関数法に対する多体効果の補正は小さいことを見いだした。また、電子構造のみならず構造特性も議論するために、RPAに基づいて固体の全エネルギーを求める方法を開発し、NaやSiの格子定数を精度良く計算することに成功した。RPAはファンデルワールス力などの長距離力も記述できるので、今後、ナノチューブ間の相互作用の解明などに役立つと期待される。
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[Publications] T.Miyake, S.Saito: "Electronic Structure of Potassium-Doped Carbon Nanotubes"Phys.Rev. B. 65. 165419-1-165419-6 (2002)
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[Publications] F.Aryasetiawan, T.Miyake, K.Terakura: "Total Energy Method from Many-Body Formulation"Phys.Rev.Lett.. 88. 166401-1-166404-4 (2002)
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[Publications] H.Kino, F.Aryasetiawan, K.Terakura, T.Miyake: "Electronic Structure of CaB6 : Abnormal Quasiparticle Shifts"Phys.Rev. B. 66. 121103-1-121103-4 (2002)
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[Publications] T.Miyake, S.Saito: "Electronic Structure of Potassium-Doped Carbon Nanotubes"Physica B. 323. 219-221 (2002)
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[Publications] T.Miyake, F.Aryasetiawan, T.Kotani, M.van Shilfgaarde, M.Usuda, K.Terakura: "Total energy of solids : an exchange and random-phase-approximation correlation study"Phys.Rev. B. 66. 215103-1-215103-4 (2002)
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[Publications] T.Miyake, S.Saito: "Electronic Structure of C60-encapsulating semiconducting nanotube"Solid State Comm.. 125. 201-204 (2003)