2003 Fiscal Year Annual Research Report
チャープパルスを用いた遠赤外光の検出とポンププローブ分光法による光誘起相の研究
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14740190
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永井 正也 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30343239)
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Keywords | THz電磁波 / マルチチャンネル検出 / 自己位相変調 / 広帯域サンプリングパルス / 電気光学効果 / 位相整合 / コヒーレント長 / ポンププローブ分光 |
Research Abstract |
遠赤外領域の光スペクトルをマルチチャンネルで効率よく検出する手法の開発を行った。光整流によって発生した遠赤外光パルスをZnTe結晶に照射しその電場で生じた電気光学効果の大きさを検出する手法をベースとしている。ただしサンプリングパルスとして自己位相変調によって周波数帯域を広げた後に回折格子対等を用いてチャープをさせた光を用い、λ/4波長板と偏光プリズムによって分離した2つの偏光を分光器とCCDカメラを用いて分光する。ここで得られたEo信号のスペクトルは遠赤外光パルスの電場の時間波形を表しており、このパワースペクトルをとることで、数オクターブにわたる光スペクトルのマルチチャンネル検出が可能となる。我々は45THzの帯域の白色光を用いてTHz電場波形を観測し、1THzの帯域で0.1THzのスペクトル分解能に対応する電場波形を検出した。これは分光を行う上では十分な装置関数である。またチャープ量を変えることによって帯域とスペクトル分解能を制御することも実験として明らかにした。またポンププローブ分光を行うことが可能な実験装置を構築した。 このような検出手法では広い波長領域のサンプリングパルスを用いることから、非線形結晶の位相整合条件が重要な鍵となる。そこで、可視、赤外領域に渡る波長領域でのコヒーレント長の評価を行ったところ、0.9μm-0.7μmの波長領域の白色光を用いた場合では1THzの帯域で1mmのコヒーレント長を確保できることが分かった。我々はまた他の物質においてもコヒーレント長の評価を行い、>1μmの長波長領域ではGaPやGaAsなどのIII-V族閃亜鉛型半導体が非線形結晶として有効であることを見出した。
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