2002 Fiscal Year Annual Research Report
伝導電子系における空間的不均一性の研究(強い電子相関による揺らぎの効果)
Project/Area Number |
14740208
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 晃人 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80335009)
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Keywords | 伝導電子系 / 不均一性 / 相分離 / 強相関電子系 / 反強磁性 / 超伝導 / 金属絶縁体転移 / 揺らぎ |
Research Abstract |
高温超伝導体、有機超伝導体、重い電子系では金属・超伝導・反強磁性絶縁体の空間的に不均一な共存(相分離)が観測されている。これらの不均一性の実体を明らかにし発現機構を解明すること目的として研究している。これらの不均一性にみられる共通点は強い電子相関を持つ系における金属-絶縁体転移の近傍で発現していることである。我々のこれまでの研究から金属-絶縁体転移の近傍では電子相関が強い揺らぎ(超伝導揺らぎ、スピン揺らぎ、電荷揺らぎ)を誘起することがわかっている。これらの揺らぎが電子系に本質的な不均一性を引き起こしていると考えられる。 高温超伝導体における超伝導-反強磁性転移の様相を調べるため、d-p模型においてスレーブボソン法と1/N展開理論を用い、これにより導かれる準粒子バンド(ingap-state)上の超交換相互作用による超伝導と反強磁性をセルフコンシステントに扱った。ここで強調したいことは、ホールドープ量が小さいときingap-stateのフェルミエネルギーと超交換相互作用が拮抗することである。したがって準粒子形成とクーパー対形成とをコンシステントに解かなければならないのである。さらに超伝導状態の安定性を考察するため、超伝導ギャップに対する自由エネルギーを計算した。絶対零度における計算の結果、有限のホールドープ量において超伝導-絶縁体不連続転移が起きることがわかった。ここで現れた絶縁体相では圧縮率が負、すなわち熱力学的に不安定な解となっている。これは空間的に均一な解を仮定した結果である。この計算において解の空間依存性を導入すれば、系は反強磁性絶縁体領域とドープされたキャリアの凝集した領域とに相分離することになる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 有本泰治郎: "Superconductor-Insulator Transition in the d-p Model"Journal of Physical Society of Japan. 72(発表予定). (2003)
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[Publications] 小林晃人: "Phase Diagram of the Electron-Doped Cuprate Superconductors"Journal of physical Society of Japan. 71. 1640 (2002)
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[Publications] 小林晃人: "Pseudogap and strong correlation effects in the d-p model"Journal of Physics and Chemistry of Solids. 63. 1409 (2002)
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[Publications] 伊藤雅典: "Detailed Structure of the Magnetic Excitation Spectra of YBa2Cu3Oy and Its Implication on the Physical Characteristics of the Electron"Journal of Physical Society of Japan. 71. 265 (2002)
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[Publications] 鶴田篤史: "Small magnetic moment and superconductivity in URu2Si2"Journal of Physics and Chemistry of Solids. 63. 1469 (2002)
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[Publications] 小菅友: "Comments on Superconducting Fluctuation and Transport Phenomena in a Quasi-2D Electronic System"Journal of Physical Society of Japan. 72(発表予定). (2003)