2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740221
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
大和田 謙二 特殊法人日本原子力研究所, 放射光科学研究センター・構造物性研究グループ, 博士研究員 (60343935)
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Keywords | 共鳴X線散乱 / 低温・高圧 / ダイアモンドアンビルセル / Beガスケット / 放射光X線 / 電荷秩序 / 軌道秩序 |
Research Abstract |
本年度初めに掲げた以下の4つの技術達成目標は3.を除いて達成された^<(注)>。 1.セルの設計製作 2.最適Beガスケット形状の探索 3.Heガス圧力媒体の採用 4.試料整形法の確立 (注)超高圧Heガス充填装置が、本研究所から(財)高輝度光科学研究センターへ移管される関係で使用出来なかった為。 上記の技術を確立した事で、以下の実験課題を遂行し成果を挙げる事が出来た。 1.圧力下における(alkil-ammonium)_2CuCl_4の反強軌道秩序融解過程及び強軌道秩序化過程の研究 (C_2H_5NH)_2CuCl_4において詳細なX線回折実験を行ないこれまで確認されていなかった4GPa(約4万気圧)での相転移を構造的に直接検証した。その転移圧力に向けてCuCl_6八面体のJahn-Teller(JT)歪が緩和されていく事を構造解析から見出した。さらに共鳴散乱実験を行ないJT歪量(δ)と共鳴散乱強度(I)が必ずしもI∞δ^2の関係にはない事を示した。但しこの事実に関しては更なる研究が必要である。まだ強軌道秩序化の観測には成功していないが、来年度には達成できる見込みである。これらの成果は2003年春の日本物理学会(仙台)で報告され、現在、学術雑誌へ投稿準備中である。 2.電荷・格子・スピン結合系NaV_2O_5の圧力下における「悪魔の階段」的電荷秩序の直接観測 NaV_2O_5の低温高圧力下における電荷秩序状態を直接観測する事に成功した。その結果NaV_2O_5に見られる「悪魔の階段」的振る舞いが、格子と電荷が深く相互作用した結果現れている事が分かった。これらの成果は2002年の高圧討論会(松山)、2003年春の日米中性子ワークショップ(Brookhaven National Lab.)で報告され、2002年固体物理特集号「放射光X線による構造物性研究の最前線」(p640-641)で一部紹介された。現在、学術雑誌へ投稿準備中である。 ※実験はSPring-8のBL02B1とPFのBL-4C及びBL-16A2で行なった。
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Research Products
(1 results)