2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740234
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
狐崎 創 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助手 (00301284)
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Keywords | 粉体 / 準静的変形 / 断層形成 / fingering instability / 摩擦 |
Research Abstract |
研究実績の概要は以下のとおり。 本研究は、粉体の変形に伴って起きる変位や応力分布の変化を調査し、断層形成や臨界応力状態に至る過程を力学的に明らかにするのが目的である。 本年度の研究では、準静的に変形させた時に複数の平行断層が現れる現象を理解するために、離散要素法による数値計算で規則的な初期配列が変形して断層発生に至る変形過程を再現した。その結果、巨視的な断層は微小変形の間に粉体内の変位場がfingering likeな不安定成長を起こし、それに伴って現れたミクロなshear zoneが下方に成長しながら伝播することによって現れることを見いだした。これは、巨視的な複数の断層が粉体の境界側、即ち容器の壁面付近から順次現れること、またその間隔は粒径によらず中央から境界側に向かって大きくなること、などの以前に得た実験結果と一致し、巨視的な断層の発生過程を定性的に説明する結果である。また、初期の微小変形に関して線形化されたモデルを作り、より詳しい理論解析を行った。このような初期の応力場のfingering instabilityには粉体間の摩擦が本質的な役割を果たしており、初期の微小変形では滑りを通して粉体の運動の履歴が応力場に配信される。 また、これらの理詰的研究とは別に、新しい実験的研究の準備として光弾性を用いた粉体応力場の可視化を学生研究の形で行った。 成果発表は国内では日本物理学会、京大、大阪府立大など国内での研究会やセミナーにおいて行った。また、国外では8/11〜15にイギリス・ランカスターで行われた粉体の国際会議"LMS segregation workshop"に参加し口頭発表を行った。上記研究の詳細については現在、論文を投稿準備中である。
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