2002 Fiscal Year Annual Research Report
ひねり演算子を用いた低次元強相関系の統計力学的研究
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14740241
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
中村 正明 東京理科大学, 理学部第一部・応用物理学科, 助手 (50339107)
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Keywords | ひねり演算子 / 量子スピン系 / ハルデンギャプ / スピン梯子系 / 量子モンテカルロ法 |
Research Abstract |
研究代表者は次のようなスピン波的な励起状態を作る演算子の基底状態での期待値で与えられる量 Z_L=<exp(i(2π)/LΣ^^L__<j=1>jS^z_j)> を導入し、これが量子スピン系におけるハルデンギャップ状態を特徴づけるよい秩序変数になっていることを見出した。z_Lの符号は、一次元スピン鎖の境界に位置するvalence bondの本数の偶奇に対応しており、valence bondの組変えによる相転移において符号を変えることになるため、z_L=0となる点から相転移点を見出すことができる。従来、ハルデンギャップ状態を検出するためにはストリング秩序変数と呼ばれる相関関数型の秩序変数が使われる事が多かったが、一般の大きさのスピンSへの拡張が困難であるだけでなく、転移点の決定が難しいという欠点があった。これに対してz_Lにはそのような困難さがないため、ストリング秩序変数より合理的かつ実用的な秩序変数であるといえる。このz_Lの性質を利用して、ループアルゴリズムと呼ばれる、最新の量子モンテカルロ法の手法を用い、ボンド交替ハイゼンベルクスピン鎖についてのvalence bondの組変えによる相転移を解析し、ボンド交替の強さを変化させることで2S回の符号の変化(相転移)が起きることを見出した。次にスピン梯子模型について考察した。異なるダイマー配置を持つ相の間の相転移点を求めた。これまで、梯子系におけるトポロジーの異なる相の特定のためには複数の異なるストリング秩序変数が必要であると指摘されていたが、z_Lを用いると、一種類で二種類分のストリング秩序変数の情報を持ち、相転移点も容易に定めることができる。このような性質を利用して、S=1/2とS=1の梯子系の解析を行った結果、転移点を高精度で求めることに成功しただけでなく、特に後者の系においてはplaquette singlet相と呼ばれる特異な相が出現することを明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Masaaki Nakamura, Johannes Voit: "Lattice twist operators and vertex operators in sine-Gordon theory in one dimension"Physical Review B. 65. 153110-153113 (2002)
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[Publications] Masaaki Nakamura, Synge Todo: "Order Parameter to Characterize Valence-Bond-Solid States in Quantum Spin Chains"Physical Review Letters. 89. 077204-077207 (2002)
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[Publications] Masaaki Nakamura, Synge Todo: "Novel Order Parameter to Characterize Valence-Bond-Solid States"Progress of Theoretical Physics Supplement. 145. 217-220 (2002)
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[Publications] M.Matsumoto, S.Todo, M.Nakamura, C.Yasuda, H.Takayama: "Ground state of antiferromagnetic Heisenberg two-leg ladder in terms of the valence-bond solid picture"Physica B. (発表予定).
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[Publications] Masaaki Nakamura: "Identification of topologically different valence bond states in spin ladders"Physica B. (発表予定).