2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740243
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
関 和彦 独立行政法人産業技術総合研究所, 光反応制御研究センター, 主任研究員 (60344115)
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Keywords | 電荷移動度 / 電場 / マーカス式 / ランダム系 |
Research Abstract |
色素をドープした高分子について電荷移動度は強い電場依存性を持っており多くの色素分子と高分子の組み合わせに対して、Gillの経験則で表される事が知られている。我々は、電荷移動度の電場依存性を理論的に求めるために、色素間の電荷遷移についてはマーカス式を用い、外部電場による自由エネルギー差により電荷移動が駆動されるというモデルを解析した。その際、ランダムな方向を向いて分散されている色素の永久双極子や、色素の高分子に対する配向が制御されていない事から来る、高分子中の誘起双極子が作るランダムな静電ポテンシャルの効果を考慮した理論を構築している。そのために、まず第一に外部電場をかけた時に実際に高分子に埋め込まれた色素が感じる電場を求める必要がある。そこで、色素の誘電率は高分子の誘電率と異なっており、色素を点電荷とするのではなく、有限の大きさを持った球であると近似して厳密に色素が感じる電場を求めた。色素が感じる電場は、外部電場に対して色素と高分子の誘電率の比と色素の体積という2つの要素の補正をする事で求められる。この補正式は大変複雑で数値的に評価した。又、この補正式の使い易い近似式を導出し、数値的に評価したより厳密な結果を良く再現する事を示した。その成果は、この分野の主要な雑誌である、J.Chem.Phys.に発表した。 一方、高電場領域での電荷移動度では、電場による自由エネルギー差が大変大きくなる。このように、電荷移動を駆動する自由エネルギー差が大きくなると、自由エネルギー差の一部が分子内振動励起に費やされる。そこで、高電場領域での電荷移動度について、マーカス式をそのまま用いるのではなく分子振動の効果も考慮する事にする。高電場領域では電荷移動は電場の方向に起こると考え一次元系のモデルに対して、電荷移動度を数値的に評価し易い形にまとめる事に成功した。
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Research Products
(1 results)