2002 Fiscal Year Annual Research Report
反陽子ヘリウム原子のエネルギー準位の精密計算および生成反応の四体組替え計算
Project/Area Number |
14740244
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木野 康志 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00272005)
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Keywords | 反陽子ヘリウム原子 / 少数多体系 / 反陽子質量 / 組替えチャネル結合法 / 複素座標回転法 / 共鳴状態 |
Research Abstract |
組替えチャネル結合法を用い反陽子ヘリウム原子のエネルギー準位の計算を行った。散乱の境界条件は複素座標回転法により適切に取り入れる事ができた。動径の波動関数の計算精度を向上させるため複素ガウス基底関数を導入した。この基底関数ではガウス基底関数のレンジパラメータを複素数にし、その複素共役との和または差により余弦関数または正弦関数を含むガウス基底関数が得られる。この基底はガウス基底関数を重ね合わせるよりも数値計算上での直交性にすぐれ、多くの基底関数を使う事が出来、反陽子ヘリウム原子の振動励起状態をうまく再現した。計算精度は昨年度までの結果と比べ一桁近く向上し、計算結果は最新のRFQDを使った実験値と実験誤差(〜200ppb)の範囲で一致した。またこの結果より、陽子の質量の非対称さの上限が1×10^<-8>と算出できた。これは現在世界で最も高い精度の陽子質量と反陽子質量の対称性を検証である。 更にこの新しい複素ガウス基底関数を用い、ヘリウムイオン陽電子三体系での共鳴状態の計算を行い、この系に幅の広いポテンシャル共鳴状態が存在する事を示した。この共鳴状態は強いHe^<2+>のクーロン斥力場中でポジトロニウムが大きく分極する事により生じたものであり、また構造的にはHHe^<2+>の共鳴状態に近い事が明らかになった。 生成反応の計算のため、三体系での波束の時間発展を時間に依存するシュレディンガー方程式を数値的に計算する事により求める計算コードを開発し、陽電子+水素原子衝突による陽電子の対消滅断面積の計算と反陽子+ポジトロニウム衝突による反水素生成断面積の計算を行った。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Kudo, H.Shibata, Y.Kino: "Nuclear Fusion Rates in the (ttμ)+Molecule"Fusion Science and Technology. 41. 363-367 (2002)
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[Publications] N.Yamanaka, Y.Kino: "Antihydrogen-Formation Cross Sections in Antiproton-Positronium Collisions with a Time-Dependent Coupled-Channel Method"Physical Review A. 65. 062709(6) (2002)
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[Publications] Y.Kino, M.Kamimura, H.Kudo: "Determination of Antiproton Mass from the Calculation of Energy Levels of Antiprotonic Helium Atoms"Journal of Radioanalytical Nuclear Chemistry. 255. 179-182 (2003)
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[Publications] Y.Kino: "The Subtle Secrets of Exotic Helium"Physics World. 16. 25-26 (2003)
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[Publications] 木野康志, 上村正康, 工藤博司: "反陽子ヘリウム原子のエネルギー準位と反陽子質量の精密計算"原子核研究. 46. 1-8 (2002)
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[Publications] Y.Toya, Y.Kino, H.Kudo, M.Kamimura: "High-Accuracy Calculation of Three-Body System with Complex Gaussian Basis Functions"Atomic Collision Research in Japan. 28. 100-102 (2002)