2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740262
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大湊 隆雄 東京大学, 地震研究所, 助手 (70322039)
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Keywords | 火山 / 地震波形解析 / 地形効果 / 数値シミュレーション / 広帯域地震波形 / 薩摩硫黄島 / 国際情報交換 / 米国 |
Research Abstract |
火山内部で進行する物理現象を理解し噴火予知へ応用するためには、火山で観測される地震波形を詳細に解析し、その震源メカニズムを明らかにする必要がある。火山周辺で発生する地震は、火山内部の熱水やマグマなどの流体の動きや火山内部の応力状態の変化を反映しているからである。しかし、火山で発生する地震は伝播経路の影響を受けるため、震源に関する情報は往々にしてその影響に覆い隠されてしまう。観測される地震波形から震源メカニズムを推定するためには、伝播経路の影響を評価し、その効果を補正しなければならない。本研究では、複雑な火山の地形が地震波形に与える影響を数値シミュレーションにより評価し、火山で発生する地震の震源メカニズム解析へ応用することを目的としている。 平成15年度には、九州南部の活動的な火山島である薩摩硫黄島を対象として理論地震波形計算を行った。薩摩硫黄島の複雑な地形を考慮した場合の理論地震波形と、地形を無視した平坦な表面を持つ媒質を仮定して計算された理論地震波形を比較したところ、地表変位の水平成分が地形の効果により著しく増幅されることがわかった。さらに、それらの地震波形を用いて、震源メカニズムを推定したところ、地形効果を考慮した場合には傾いたクラックの開閉に対応する解が得られたが、地形効果を無視した場合に得られた震源メカニズムは物理的に説明することが難しい極めて不自然な解であった。これは、本来地形効果に帰すべき波形の増幅現象が、震源の効果に押し付けられ、震源メカニズムが歪められたためと考えられる。 本年度はさらに、相反定理を用いて差分法プログラムの高速化を図った。相反定理とは、一定の条件下で震源と観測点の役割を入れ替えて計算された波形が同一であることを保障する弾性体力学の基本定理である。この定理により、震源数でなく観測点数に比例する計算量で、必要な全ての理論波形計算が得られる。
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Research Products
(1 results)