2002 Fiscal Year Annual Research Report
火山性低周波地震のメカニズムから探る火山性流体のダイナミクス
Project/Area Number |
14740265
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中野 優 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助手 (40314041)
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Keywords | 火山性低周波地震 / 火山性流体 / ダイナミクス / 固有周波数 / 減衰定数 / 時間変化 |
Research Abstract |
草津白根山で発生する火山性低周波地震のメカニズムを解明するためのデータとして、本研究では東京大学地震研究所(以下地震研)による定常観測網のデータを利用する。本年度は、データを再生と、予備的な解析を行なった。 地震研では1988年より草津白根山で定常観測網を展開しており、その観測記録はオープンリール型磁気テープで保存されている。MTは現在利用されておらず、現存する装置での再生には工夫が必要である。ここでは名古屋大学情報基盤連携センターに設置されたテープドライブによって再生し、得られたデータをダンプすることによってデータのフォーマットを解読した。解読したデータは、現在波形を確認中であり、これまでに約9割の波形の確認ができた。また、同時に低周波地震、近地地震、遠地地震、ノイズ、その他のラベルをつけ、今後の解析に使いやすいようにした。 波形を確認したデータを用いて、低周波地震の発生頻度および固有周波数の時間変化と、火山活動との関連を調べた。低周波地震は、火山構造性地震の活動が活発であった1990年に多く発生しているが、それ以外の年では、夏から秋にかけて多く発生していることが分かった。発生頻度の季節性については、降水によって地下水系に供給される水の量に季節性があるためと考えられる。 低周波地震の固有周波数、減衰定数の時間変化について、以前調べた1992年のときと、同様の変化が他の時期で起きているのかについても調べた。1992年の時は固有周波数は約4Hzから一旦1Hz前後まで低下し、再び約4Hzに上昇する。このような変動は他の時期でも見られた。そこで1989年の秋の低周波地震について、減衰定数も含めて解析を行なった。この時期は、震源である熱水クラックがはじめは乾燥していたものが、一度熱水で満たされ、再び乾燥化していくプロセスであると解釈された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] M.Nakano, H.Kumagai, B.A.Chouet: "Source mechanism of long-period events at Kusatsu-Shirane Volcano, Japan, inferred from waveform inversion of the effective excitation functions"Journal of Volcanology and Geothermal Research. 122/3-4. 149-164 (2003)