2002 Fiscal Year Annual Research Report
薩摩硫黄島の火山活動に伴う自然電位変動に関する三宅島火山との比較研究
Project/Area Number |
14740267
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
神田 径 京都大学, 防災研究所, 助手 (00301755)
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Keywords | 火山観測 / 自然電位 / 電極 / 薩摩硫黄島 / パルス地震 / 火口拡大 |
Research Abstract |
今年度は、年次計画に従って、薩摩硫黄島硫黄岳における自然電位連続観測を開始し、経費の大半は、この観測のたちあげとその維持・補助観測に使用した。現在拡大を続けている山頂火口周辺の合計3箇所に、新規購入のデータロガーを設置し、各観測点では測線長50mの直交2成分の測定を行っている。さらに、山頂火口の拡大方向と直交する東西方向に沿って100m間隔で電極を埋め、山頂火口の拡大に伴う電位変化の検出を狙った。測定間隔は、ロガーのメモリの制約から2分とした。 2002年7月の観測開始からの約7ヶ月間に、いくつかの測線では長期的な電位変化が得られている。しかし、別種の電極を用いた自然電位繰り返し測定からは、観測されているような変化が得られていないので、これは埋設電極がドリフトしているためと考えられる。これらの電極はいずれも火口に近く、地中温度が100℃近い高温であることが予想されるため、電極周辺の土壌水分を保持できないのか、あるいは電極が変質している可能性すらある。電極のドリフトは大きな問題で、現状では広い測定レンジを得るために分解能を落として測定しなければならず、来年度早急に改善する必要がある。 2002年6月頃より、硫黄岳の地震活動は極めて低調であったが、2003年2月16日〜19日にかけて火山性連続微動が発生した。その2週間ほど前からいくつかの電極では電位の上昇傾向が見られたが、上述の電極ドリフトの問題もあり、連続微動に関連する変動かどうかは明らかではない。また、11月にデータ回収を行った際の約2日間、測定間隔1/8秒でデータを取得した。以前から頻発していたパルス地震に対応する変化を狙うためであったが、高サンプルのデータが取得できた期間は火山活動が静穏で、パルス地震も発生しなかったため、両者の関係を示唆するようなデータは得られていない。これらは来年度以降も継続して行う予定である。
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