2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740283
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
冨田 智彦 熊本大学, 理学部, 講師 (20344301)
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Keywords | 梅雨 / ENSO / 準2年周期変動 / アジアモンスーン / ENSO / モンスーン相互作用 |
Research Abstract |
H14年度は、梅雨前線の特に南北変動にみられる経年変動の時空間特性を明らかにする。この経年変動は、周期に着目すると4-5年周期のLF-modeと2-3年周期のBO-modeに分離でき、その空間特性は、LF-modeでは35°N以南で降水が一様に増減する変動により、またBO-modeは28°Nを節としたシーソー変動により特徴付けられる。関連する大規模大気循環は、熱帯太平洋における海面水温の馬蹄形偏差パターンの発達の度合い、すなわち空間位相の違いによりその多くが説明される。LF-modeでは、ENSOイベント時に生じる大気循環場と類似のパターンを示し、その変動は中東部域を中心としたENSOとの遠隔応答により生じる。これに対しBO-mode発達時は、海面水温偏差は中西部域に集中する傾向にあり、この偏差により励起されるより局所的な大気循環によってBO-modeは発生維持される。本研究は、4-5年周期のENSO変動とアジアモンスーンの準2年周期変動の相互作用の本質に迫る研究と位置づけられる。 なお本年度の成果は、投稿中の論文を含め下記の通り公表している。 (1)Tomita, T., T.Yoshikane, and T.Yasunari,2003: Biennial and Lower-Frequency Variability Observed in the Early Summer Climate in East Asia. (Journal of Climateに投稿中) (2)冨田智彦、2002:「春季西太平洋の海面水温偏差場の形成と関連する大気循環」日本気象学会、平成14年度春季大会、平成14年5月22日-24日、埼玉県(大宮ソニックシティ) (3)冨田智彦、吉兼隆生、安成哲三、2003:梅雨前線の南北変動にみられる経年変動」GAME-IIワークショップ、平成15年2月5日-6日、京都大学、総合地球環境研究所
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