2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740289
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Research Institution | Institute of Space and Astronautical Science |
Principal Investigator |
今村 剛 宇宙科学研究所, 惑星研究系, 助教授 (40311170)
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Keywords | 赤外線 / 惑星大気 / 光学観測 / 非冷却 |
Research Abstract |
惑星観測用の非冷却赤外カメラ(波長域は金星大気の吸収を避けられる9-11μm)を開発するために、実際に採用を予定している2次元熱型素子(ボロメータ)を用いて基礎的な実験を行い、カメラの設計を概ね決定した。エレキ部を合わせた重量は約2.6kgであり、従来の冷却式カメラより軽量である。 検出器のノイズレベルは20〜30mK(F/0.8,300K)であり、公称値より若干小さいことが確認された。これは300K付近の対象を見るのには十分な値である。しかし、240Kという低温の金星雲頂を撮像する場合、検出器に入射する赤外線の強度が300K物質の放射に比べて約1/10になるため、十分な科学観測を行うには積算などによりS/N比を向上させる必要がある。実験結果によれば、等価雑音温度(NETD)を画像の積算により50%程度、また2×2ビニングにより30%程度減少させることが可能である。このような処理により、金星においても0.1〜0.2KのNETDを実現できることが分かった。 また、ボロメータは通常は絶対輝度を計測する機能を持たないため、シャッターを用いる温度較正機能が新たに必要である。画面全体の平均値(オフセット)が時間の経過とともに大きく変化するが、実験の結果、シャッター較正のあと10秒程度以内に画像を取得すればその影響が小さく抑えられることが分かった。その上で、絶対較正精度3Kを達成するためには、光学系温度を0.1Kの精度でモニターする必要がある。 さらに、宇宙空間での長期の使用に耐えるために、耐放射線性にも注意が必要である。放射線医学総合研究所の粒子線照射施設において、検出器がONの状態で約30kRadを照射したところ、2度ラッチアップしたものの深刻な影響は生じないことが分かった。
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[Publications] K.-I.Oyama: "Feasibility study for Venus atmosphere mission"Advances in Space Research. 29(2). 265-271 (2002)
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[Publications] Takeshi Imamura: "SCIENCE GOALS OF THE VENUS MISSION PLANET-C"Lunar and Planetary Sciences. XXXIII(CD-ROM). (2002)