2002 Fiscal Year Annual Research Report
堆積構造の3次元解析に関連する流体場中の物質輸送と砂床の動的・幾何学的性質
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14740292
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
遠藤 徳孝 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60314358)
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Keywords | barchan / ripple / dune |
Research Abstract |
本年度は、振動流下で、貧砂状況での砂床形態を実験的に調べた。貧砂状況とは移動可能な砕屑物の量が十分でなく、基盤が部分的に露出するような状況を指す。実験にあたっては、あらかじめ小量の砂を限定された領域に散布し、表面波を発生させることにより、底面の砂に振動流を作用させた。その結果、従来振動流では発生しないと考えられていたbarchan(三日月型地形)が発生した。実験のbarchanは数センチ程度のリップル・サイズであった。Barchanは、もともとは孤立砂丘の典型として古くから知られており、沙漠以外にも海底や火星表面などでも多く見つかっている。Barchanは一つ一つは孤立しているが、通常同時に複数発生する。実験においてもバルハンは同時に多数発生し、個々の地形の類似性だけでなく、集団としてとらえた場合にも自然現象をよく再現していた。実験の振動流は表面波を起源としているので、時間平均をとると物質輸送が起きる。この輸送の向きがバルハンの向きを決定する。すなわち、表面波の進行方向へと、barchanの三日月の尖端を向ける。そして、この向きにbarchanはゆっくり移動する。同一水理条件においてbarchanは、クレストの高さに反比例する速度で移動することが分かった。この結果はフィールド調査の報告と調和的である。形状については、実験のbarchanと、これまで報告されている沙漠のbarchanとで相違があった。これの違いを定量化するためのパラメータを定義し議論した。結論を要約すると、実験の振動水流下で発生したbarchanの形状は、沙漠のbarchanに比べて相対的に、ホーンの部分(三日月の角)が短く、ボディーの部分が長いことが明らかとなった。一方、野外の水中barchanの報告例の中には、本実験のものと似た形状のものがあり、これらは従来一方向流れによると解釈されてきたが、波浪の影響が示唆される。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] E.Endo, F.Masuda, T.Sakai, M.Yokoyama: "Grain fabric in Cross laminated deposits conformably superimposed on parallel laminae : Flume experiments and application to geologic records"Journal of the Geological Society of Japan. 108・7. 415-420 (2002)
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[Publications] T.Sakai, M.Yokokawa, Y.Kubo, N.Endo, F.Masuda: "Grain fabric of experimental gravity flow deposits"Sedimentary Geology. 154. 1-10 (2002)
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[Publications] 遠藤徳孝, 久保秀仁, 砂村継夫: "二次元造波水路で発生するバルハンリップルの形状と野外におけるバルハン状地形との比較"地形. 23・3. 476 (2002)