2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740293
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山本 啓司 鹿児島大学, 理学部, 助手 (60244224)
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Keywords | 内陸地震 / 低圧高温型変成岩 / 石英脈 / 珪化作用 |
Research Abstract |
本年度の研究実績 日高変成帯(北海道)、北上山地のスレート帯(東北地方)、中国地方西部の領家変成帯、および肥後変成帯(九州西部)の地質調査を行い、岩石試料を採取した。これらの変成岩分布地域には、過去の地震発生場の痕跡が残されている可能性がある。本年度の調査では、山口県の岩国-柳井地域において、泥質片岩が珪化して、変形に対してコンピテントな珪化帯を形成していることを発見した。 泥質片岩とその珪化岩は、それぞれ流動的に変形した石英脈と脆性的な破断面に沿って形成された石英脈を伴っていて、石英脈の一部は流動的領域から脆性的領域に連続して発達している。泥質片岩中の石英脈には、ブーディンや膨縮構造、そして片理と平行な軸面で折畳まれた褶曲が認められることから、石英脈の形成と同時期かその後に泥質片岩は流動的に変形していたと考えられる。一方、珪化した部分では片理を切る石英脈が卓越的であって、石英脈の形成には母岩の脆性的な破断を伴っていたことが明らかである。以上の観察から珪化という交代作用の結果、泥質片岩とその珪化岩との間に変形機構のコントラストが生じたと考えられる。 地殻内部で発生する地震のなかで比較的大規模のものは、地殻構成岩石の変形機構の脆性-塑性遷移領域の温度圧力条件に相当する〓さで発生することが多い。上述の石英脈の産状は、流体が関与する化学的過程が変成岩の変形機構と密接に関連することを示しており、内陸型地震の発生機構を解明する手がかりになり得る。
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