2002 Fiscal Year Annual Research Report
ガスハイドレートの分解イベントに起因する冷湧水プロセスの解明
Project/Area Number |
14740296
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
町山 栄章 海洋科学技術センター, 深海研究部, 研究員 (00344284)
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Keywords | 黒島海丘 / 冷湧水炭酸塩岩 / ガスハイドレート / 化学合成生物群集 / 長期計測 / 南西諸島 / 琉球弧 |
Research Abstract |
平成14年5月〜6月に、潜水船・ROVを使用した黒島海丘の潜航調査を行った。本調査では、1)半年間にわたる湧水量変動の把握の目的で、冷湧水域3サイトに海底湧水量計6台・地中温度計4台の設置、ガス噴出サイトに流向流速計・CTDの設置を、2)湧水や炭酸塩岩形成に関与した流体の特性を明らかにする目的で、炭酸塩岩類等の冷湧水現象のマッピング、採水・採ガスや採泥を、3)メタン濃度等の連続観測のため,メタン/CTDプローブ等による短期モニタリングを、それぞれ実施した。調査の成果として、1)現生の化学合成生物群集やメタンガス噴出を伴う3つの湧水サイトが発見され、メタン湧水が東西方向の構造線に制約を受けている確証が得られた、2)地中温度計によるスポット計測を行った結果、負の温度勾配が示され、海水温変動が強い影響を海底下に及ぼしている事がわかり、これは1ヶ月間の地中温度計測においても同様である事も判明した、3)メタン/CTDプローブによる10日間の連続観測により、潮汐の下げ止まり時、電気伝導度の低い流体が湧出した30〜50分後にメタンが湧出した可能性がある、事が挙げられる。 平成14年8月に、間隙水組成を把握するためのイオンクロマトグラフを導入した。採泥試料の測定から、硫酸イオン濃度は深度が深くなるにつれ減少する傾向が認められた。 平成14年12月に、ROVを使用し、黒島海丘頂部に設置した各長期観測機器の回収を実施した。途中、ROVのケーブル不調のため、海底湧水量計2台・流向流速計が未回収で終了した。これらは平成15年度初めに回収を予定する。回収された機器類のデータは現在処理・解析を実施中である。 ガス噴出サイト周辺の冷湧水炭酸塩岩中の貝試料の放射性炭素年代測定の結果、7300年前以降の値が得られ、最近に大規模なイベントが生じた事が明らかとなった。
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