2002 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能二次イオン質量分析計によるアイスランドプリュームの物質化学進化過程の解析
Project/Area Number |
14740304
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小林 桂 岡山大学, 固体地球研究センター, 助手 (20325129)
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Keywords | 高分解能二次イオン質量分析計 / ガラス包有物 / リチウム / ホウ素 / 鉛 / 同位体 / アイスランド / ハワイ |
Research Abstract |
本年度は,アイスランド噴出物のLi-B-Pb同位体組成の時間変動を中心に解析を行うため,噴出年代に沿って系統的に採集を行った試料(約200試料,2001年夏に採集済み)を処理し,粉末試料・薄片試料及びオリビン斑晶の鉱物分離を試みた.薄片の光学顕微鏡による記載の結果,オリビン斑晶中には最大直径100μm程度のガラス包有物が観察される試料の存在が確認された.ガラス包有物は清澄なガラスを保持しているものも観察されるが,急冷結晶の成長によって透明度を失っているものが多い.高分解能二次イオン質量分析計を用いた予備的分析の結果,リチウム・ホウ素同位体測定に関して,マトリクスの構造によりその分析における同位体分別係数が異なってくることが明らかになったため,今後ガラス包有物を含むオリビン斑晶を分離し,制御された酸素雰囲気下で焼きなまし,急冷結晶を融解,再ガラス化する実験が必須であることが明らかとなった.また高分解能二次イオン質量分析計によるリチウム・ホウ素・鉛同位体測定法の改良として,従来より用いていたソレアイト質島弧玄武岩ガラスをマトリクスとする標準試料に加え,アイスランドなどの海洋島に普遍的に見られるアルカリ玄武岩をマトリクスとする標準試料を作成した.それらを用いてマトリクスの主要元素組成が,高分解能二次イオン質量分析計による同位体分析に及ぼす影響を評価したところ,マトリクスの違いによる検量線の変動は観察されず,アイスランド火山岩中のガラス包有物の微小領域同位体組成分析に際し,既存の標準試料を用いた検量線法が有効であることが明らかとなった.この手法を用い,アイスランドマグマの物理化学進化のリファレンスとなるハワイの海洋島玄武岩に含まれるオリビン斑晶中のガラス包有物のリチウム・ホウ素・鉛同位体測定を行い,ガラス包有物中の同位体の変動が,全岩分析のそれよりもはるかに大きいことを明らかにした.
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