2003 Fiscal Year Annual Research Report
密度汎関数法に基づく大規模分子の励起状態分子動力学理論の開発
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14740324
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
常田 貴夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (20312994)
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Keywords | 交換汎関数に対する長距離補正法 / 時間依存密度汎関数法 / 励起状態分子動力学計算法 / 密度汎関数法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、時間依存密度汎関数法(TDDFT)にもとづく大規模分子励起状態の分子動力学(MD)計算法を開発することにある。この目的に従い、本年度はTDDFTに対する補正法およびMDプログラムを開発した。 1.TDDFTは、分子の励起エネルギーを精密に再現する高速かつ簡便な方法として、現在広く利用されているが、Rydberg励起エネルギー、振動子強度、および電荷移動励起エネルギーを過小評価するという問題を抱えてきた。本研究では、この問題が交換汎関数の長距離相互作用の欠如に起因していると考え、すでに開発済みの交換汎関数に対する長距離補正(LC)法をTDDFTに適用した。まず、典型的分子の励起エネルギー計算を行なった結果、LC法で補正したTDDFTは、1eV以下の平均絶対誤差の精密なRydberg励起エネルギーを与え、補正前の2から3eVの誤差をもつ結果から明確に改善することが分かった。また、その際、valence励起エネルギーの精度はほとんど損なわなかった。続いて、同じ分子の励起状態について振動子強度の計算を行なった結果、補正前に1,2桁過小評価していた振動子強度を同桁まで劇的に改善することが分かった。最後に、LC-BOPをエチレン-テトラフルオロエチレン二量体の電荷移動励起エネルギー計算に適用した。Dreuwらは、TDDFTによる電荷移動励起エネルギーが、長距離分子間において正しい漸近的振る舞いを与えることの重要性を指摘し、現在まで正しい振る舞いを与える汎関数が存在しないことを重大な問題とした。計算の結果、LC法は長距離分子間の電荷移動励起の振る舞いを完全に正しく与えることが分かった。高精度ab initio SAC-CI法の振る舞いと比較しても、ほぼ完全な一致が見られた。さらに、分子間距離∞での電荷移動励起エネルギーの実験結果は12.5eVであるが、LC法で補正すると12.49eVと完全に再現することが分かった。以上より、従来のTDDFTの問題は、交換汎関数が長距離軌道間相互作用を十分に取り込んでいないためと結論づけられる。 2.TDDFTにもとづく励起状態MD計算プログラムの開発を引き続き行なっている。ベースとなる時間依存Hartree-Fock(TDHF)法にもとづく励起状態MD計算プログラムは、まもなく完成する予定である。現在、平行して、TDDFTへの拡張に必要な、汎関数の3次微分計算プログラムを作成中であり、TDHF法計算プログラムが完成し次第、TDDFT計算プログラム作成に取り掛かる予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Tawada, T.Tsuneda, S.Yanagisawa, T.Yanai, K.Hirao: "A long-range-corrected time-dependent density functional theory"Journal of Chemical Physics. (In press). (2004)
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[Publications] T.Yanai, H.Nakano, T.Nakajima, T.Tsuneda, S.Hirata, Y.Kawashima, Y.Nakao, M.Kamiya, H.Sekino, K.Hirao: "UTChem-A Program for ab initio Quantum Chemistry"Computational Science -ICCS 2003, Lecture Notes in Computer Science. 84-95 (2003)