2002 Fiscal Year Annual Research Report
アルケニルフィッシャーカルベン錯体を用いる新規付加環化反応の開発
Project/Area Number |
14740355
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
神子島 博隆 茨城大学, 機器分析センター, 助教授 (50306528)
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Keywords | フィッシャーカルベン錯体 / 付加環化反応 |
Research Abstract |
本年度はアルケニルフィッシャーカルベン錯体とカルボニル及びチオカルボニル化合物の[3+2]型付加環化反応による含酸素及び含硫黄5員環化合物の合成を試みた。 アルケニルフィッシャーカルベン錯体の反応性は,その中心金属と置換基の種類に大きく依存するものと予想される。また,カルボニルおよびチオカルボニル化合物の二重結合の電子状態もイミンとは異なることから,その反応性もイミンとは大きく異なることが予想される。そこで,アルケニルフィッシャーカルベン錯体とカルボニル及びチオカルボニル化合物の反応において,[3+2]型付加環化反応を起こすために必要不可欠な因子の抽出を試みた。すなわち,種々の置換様式のクロム,モリブデン,タングステンのアルケニルフィッシャーカルベン錯体を合成し,カルボニル及びチオカルボニル化合物との反応を系統的に行った。その結果、クロムのアルケニルフィッシャーカルベン錯体とチオエステルが[3+2]型付加環化反応を起こし,低収率ながらチオフェン誘導体が得られることがわかった。今後はこの反応の精密化をおこなう予定である。 一方,フィッシャーカルベン錯体とイミンの反応についてさらに詳細に検討したところ,新規反応を開発することができた。すなわち,フィッシャーカルベン錯体とイミンが[2+2]型付加環化反応を起こした後,β-水素脱離,還元的脱離が引き続き起こり,アリルアミン誘導体を得ることに成功した。アリルアミン誘導体は重要な合成中間体であり,今回これらを供給する新規手法を提供することができた。
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