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2002 Fiscal Year Annual Research Report

金属錯体型磁性体における微視的な相互作用経路の決定

Research Project

Project/Area Number 14740371
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

丸田 悟朗  北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00333592)

Keywords固体高分解能NMR / 電子スピン密度分布 / 磁気的相互作用 / 原子価互変異性 / イミダゾール錯体 / キノン錯体 / ニッケル(II)錯体 / コバルト(II)錯体
Research Abstract

【有磯分子を介した金属イオン間の磁気的相互作用】結晶中でチオシアン酸イオンにより繋がれた1次元鎖を形成しているNi(Him)2(NCS)2の、鎖間の磁気的相互作用を明らかにするために、部分重水素化した試料を合成し、固体高分解能1H,2H,13C-NMRスペクトルを測定した。スペクトルの温度変化から配位子であるイミダゾール分子の電子スピン密度分布を実験的に決定し、また密度汎関数法に基づいた高精度量子化学計算を行って理論的に電子スピン密度分布を求めた。これらの結果の解析から、(i)イミダゾールからニッケル(II)イオンへの電子供与により、不対電子軌道はイミダゾールの3位の水素にまで広がっていること、(ii)イミダゾールπ電子のスピン分極はM→Lの逆供与により引き起こされることを明らかにした。さらに(iii)鎖間の主要な磁気的相互作用が、イミダゾールとチオシアン酸イオンの水素結合を介した強磁性的な相互作用であることが示唆された。
【結晶状態における原子価互変異性】Co(3,5-di-tert-butyl-o-quinonate)2(bpy)の結晶状態における原子価互変異性を、試料の熱処理、磁化率測定、粉末X線回折、熱分析などにより再検証した。その結果、過去に報告されている結晶構造とは異った構造をもつ結晶状態において原子価互変異性が現れることを新たに見い出した。さらに結晶状態でどのような化学種の間で平衡が成り立っているのかを明らかにするために、部分重水素化した試料を合成して固体高分解能1H,2H,13C-NMRスペクトルの温度依存性を測定した。その結果、(i)NMRの時間スケールよりも十分速い速度で互変異性体間の平衡が成り立っていること、(ii)低温ではSQ(S=1/2)Co(S=0)Cal(S=0)の状態が安定であり、高温になるとSQ(S=1/2)Co(S=3/2)SQ(S=1/2)の状態が安定になることが確認できた。さらに(iii)結晶状態におけるSQ(S=1/2)Co(S=3/2)SQ(S=1/2)分子は全スピン数が3/2の状態が基底状態になり、このとき配位子の電荷はそれぞれ-1であるにも関わらず、電子スピンがほぼ完全にコバルト(II)イオン上に局在していることが明らかになった。

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Published: 2004-04-07   Modified: 2016-04-21  

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