2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740377
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
川本 正 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (60323789)
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Keywords | 有機超伝導体 / 不整合格子 / X線写真 / 量子振動 / フェルミ面 |
Research Abstract |
MDT-TTFのセレン誘導体であるMDT-TSFのAuI_2塩は、有機ドナー分子と無機アニオン分子が不整合格子を組む有機超伝導体である。X線写真の解析により化学的組成が(MDT-TSF)(AuI_2)_<0.436>であり、無機アニオンはAuとIがランダムにではなくI-Au-Iを単位として規則的に一次元鎖を構成している事を明らかにした。超伝導を破壊する上部臨界磁場はパウリ限界内に収まる。また、伝導シートに垂直な方向のコヒーレンス長がシートの厚みよりも長いことから、三次元的な超伝導特性をもつことが明らかになった[Phys.Rev. B 65,140508(R)(2002)]。不整合格子をもつ金属ではブリルアンゾーンが無限に折り畳まれるため、フェルミ面も細分化されることになる。Azbelは、このような系では量子振動の微細化が起こりうると、理論的に予測した。シュブニコフ・ドハース振動の実験では六つの閉軌道が観測されたが、それらは一本のベクトルでフェルミ面をシフトさせるだけで、再現できるものであった。シフトベクトルはAuI_2に対応するアニオン格子の基本ベクトルではなく、Au-Iに対応するベクトルである。この特徴的なフェルミ面の再構成ベクトルは、最も強い不整合アニオンポテンシャル、すなわち、X線写真において、アニオン格子による最も強いスポットのベクトルである。このことから、量子振動の微細化は現実の物質で観測されることは困難であり、フェルミ面の再構成ベクトルは、「最も強い不整合格子ポテンシャルのベクトル一本が選ばれる」という「選択則」があることを明らかにした[Phys.Rev. B 67,020508(R)(2003)]。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 川本 正: "Dimerization effect on the physical properties in new one-dimensional organic conductors : (ChTM-TTP)_2AuBr_2, (ChTM-TTP)_2GaCl_4, and (ChTM-TTP)ReO_4"Bull.Chem.Soc.Jpn.. 75. 435-447 (2002)
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[Publications] 川本 正: "Organic superconductor with an incommensurate anion structure : (MDT-TSF)(AuI_2)_<0.44>"Phys.Rev. B. 65. 140508(12)-1-140508(12)-2 (2002)
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[Publications] 川本 正: "Metal-semiconductor transition of the new organic conductor (DTEDT)_3Ag(CN)_2"J.Phys.Soc.Jpn.. 71. 2975-2979 (2002)
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[Publications] 川本 正: "Anion ordering and optical properties of the quasi-one-dimensional organic conductor (ChTM-TTP)_2GaCl_4"J.Phys.Soc.Jpn.. 71. 3059-3064 (2002)
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[Publications] 川本 正: "Incommensurate anion potential effect on the electronic states of the organic superconductor (MDT-TSF)(AuI_2)_<0.436>"Phys.Rev. B. 67. 020508(12)-1-020508(12)-4 (2003)