2003 Fiscal Year Annual Research Report
硫黄架橋モリブデン多核錯体による飽和脂肪酸・高度不飽和脂肪酸の精製分離技術の開発
Project/Area Number |
14740409
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
坂根 弦太 岡山理科大学, 理学部, 講師 (90278911)
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Keywords | カルコゲン / モリブデン / 8-キノリノール / デカン酸 / パラトルエンスルホン酸 / 水系潤滑剤 / テレフタル酸 / ドコサヘキサエン酸 |
Research Abstract |
昨年度は8-キノリノールを配位子とする酸素/硫黄架橋モリブデン三核錯体の合成に成功し、この錯体が芳香族カルボン酸と反応して結晶化することを確認した。今年度は直鎖飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸との反応を試み、酢酸、トリフルオロ酢酸との反応生成物の合成に成功、X線講造の決定にも成功した。さらに椰子油、パーム油などにグリセリンエステルとしてよく含まれているデカン酸(カプリン酸)との反応にも成功し、生成物のX線講造を決定した。ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸との反応生成物の合成も昨年度に引き続いて試みているが、良い単結晶を得てX線講造を決定するには至っていない。テトラフルオロテレフタル酸との反応には成功し、モリブデン三核錯体が二量化することをX線講造より確認した。モリブデン三核錯体を単位とする立体的な配位高分子が構築できる可能性が新たに見えてきた。研究を進める過程でカルボキシ基を有する有機分子だけではなく、スルホ基を有する有機分子も反応することも新たに見つけた。パラトルエンスルホン酸との反応生成物は良い単結晶として得ることに成功し、X線講造の決定にも成功した。5-フルオロ-8-キノリノールを配位子とする硫黄架橋モリブデン三核錯体もパラトルエンスルホン酸と反応して結晶化することも見つけ、生成物のX線講造も決定した。DV-Xα分子軌道法により、X線講造を決定して原子座標の求まっている一連のカルボン酸配位錯体、スルホン酸配位錯体の電子状態計算を行い、キノリン5位の置換基効果や、カルボン酸配位錯体とスルホン酸配位錯体の電子状態の比較を行った。キノリン5位にスルホ基を導入した5-スルホ-8-キノリノールを配位子とする硫黄架橋モリブデン三核錯体の合成にも成功した。この錯体は水溶性で、抗菌性を有していることが予想され、水系潤滑剤のフリクションモディファイヤーとしての実用化を検討している。
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