2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740412
|
Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
松岡 由浩 福井県立大学, 生物資源学部, 講師 (80264688)
|
Keywords | トランスポゾン / 種間雑種 / コムギ / Triticum / Aegilops / 複二倍体化 / 非還元配偶子 / 減数分裂 |
Research Abstract |
本研究では、植物の雑種ゲノムの安定化におけるトランスポゾンの役割を解明することを目的とし、雑種ゲノムにおいて発現するトランスポゾン群の体系的な解析を行っている。 現時点での主な成果は、以下の通り。 (1)種間雑種の作成とその生育特性の解析:二粒系コムギ(Triticum durum、2n=28)とタルホコムギ(Aegilops squarrosa、2n=14)を交配してF_1雑種を得、さらにF_1雑種を自殖して得たF_2及びF_3植物を現在栽培中である。根端の分裂組織を用いて、F_1雑種とF_2及びF_3植物の染色体数を確認したところ、F_1雑種は2n=21、F_2及びF_3植物は2n=42であり、F_1からF_2に移行する過程で染色体数の倍加(複二倍体化)が起こったことが分かった。また、F_1雑種の花粉母細胞を用いて減数分裂過程を観察したところ、第一分裂における復旧核の形成が確認された。このことから、複二倍体が、雌雄の非還元配偶子の合体により生じたことが強く示唆された。また、これら雑種の形態を調査したところ、草丈や分けつにおいて明らかな雑種強勢がみられ、親植物との比較において、統計的に有意な違いが見られた。 (2)F_1雑種でのトランスポゾンの発現:現在、F_1雑種の幼穂からtotal RNAを抽出し、トランスポゾンのDNA塩基配列に基づくプライマーを用いて、RT-PCRを行い、F_1雑種におけるトランスポゾンの発現の有無を検証中であるが、これまでのところ、トランスポゾンの転写活性は検出されていない。今後は、現在栽培中のF_2及びF_3植物も加えて、RNAを抽出する組織の種類や、RT-PCRで用いるプライマーの配列を検討しつつ、さらに解析を続ける予定である。
|