2003 Fiscal Year Annual Research Report
種子散布と採餌行動を通じたアリと植物間の相互作用について
Project/Area Number |
14740417
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大河原 恭祐 金沢大学, 理学部, 助手 (70283091)
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Keywords | 種子散布 / アリ / カタクリ / エライオソーム |
Research Abstract |
(1)カタクリ群落における個体分布調査 札幌市定山渓のカタクリ群落については5月下旬にコドラートセンサスによる個体分布調査を行い、1994年から追跡しているカタクリ若齢個体の生存率を調査した。追跡個体の一部は繁殖齢と思われるサイズにまで達していたが、開花までは確認できなかった。また研究協力者と共に北陸地方を中心にカタクリ群落の個体分布比較データの収集を開始した。富山県内で3カ所、石川県内で2カ所収集している。 (2)アリを含めた節足動物群集の影響の調査について 富山県荘川村のカタクリ群落について、50個体に標識を施し、それらの種子を採集、エライオソーム比や生重量を測定した後、親個体の根本に再配置し個体あたりの種子散布率を観察した。また各個体の周囲のアリ・その他の節足動物群集の局所的分布量をピットホールトラップを用いて調査した。さらにアリ種の種子運搬行動の直接観察も行った。本群落では個体あたりの種子運搬頻度は非常に高かった。しかし直接観察では散布に有効に働いていると思われるアリ種の行動は多くは観察されなかった。また節足動物密度は高く、種子の捕食率が高い可能性がある。来年度の実生定着率を測定することによってアリ種の散布への貢献度をより明確に測定できると考えられる。 (3)アリによる抗菌効果についての実験 他研究プロジェクトの支援も得て、インドネシア熱帯2次林においてアリ種のもたらすカビ回避効果が数種の果実性木本種の種子の生存率に与える影響を野外実験で調べた。その結果、アリの種多様性の高い地点ほど多くの果実種子の生存率が高くなっており、野外におけるこれら抗菌効果の有効性が示された
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