2002 Fiscal Year Annual Research Report
フタバガキ科開花トリガー低温仮説の野外実験による検証
Project/Area Number |
14740425
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
伊東 明 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (40274344)
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Keywords | フタバガキ / 一斉開花 / 花芽形成 / 熱帯林 / 開花トリガー / 灌水実験 / 乾燥フタバガキ林 / 混合フタバガキ林 |
Research Abstract |
フタバガキ科の開花が低温によって誘発されるとする仮設を検証することを目的に北タイの乾燥フタバガキ林とマレーシアサラワク州の混合フタバガキ林で調査を行った。なお、本年度はサラワクでフタバガキ科の開花、結実が見られなかったため、タイの乾燥フタバガキ林における以下の野外実験を中心に実施した。 1.灌水実験区の設置 チェンマイ市の北20kmにあるメジョー大学演習林に潅水実験区を設置した。潅水実験区は乾燥フタバガキ林内の面積約0.36ha(60m×60m)の貯水池沿いの斜面に設置した。実験区内の15m×15mの格子点16箇所にスプリンクラーを設置した。貯水池から水力ポンプで実験区上のコンクリート製タンクまで揚水し、タンクからスプリンクラーに給水するシステムを設置した。乾季の期間中(10月から4月)、毎朝30分間灌水を行う。これは、一日あたり3.8ミリ、月114ミリの降水量に相当し、乾季の水分ストレスを軽減するのに十分な土壌水分環境を創出できる。 2.フェノロジー調査 灌水実験区およびコントロール区のそれぞれからフタバガキ科4種(Shorea siamensis, S. obtusa, Dipterocarpus tuberculatus, D. obtusifolius)とウルシ科1種(Gluta usitata)の各10個体を選んだ。各個体の開花、結実、落葉、展葉を10日間隔で観察するフェノロジー調査を開始した。 3.林冠温度と土壌水分の計測 各種のフェノロジーと林冠温度および土壌水分の関係を調べる目的で、灌水実験区とコントロール区にデータロガー付温度計と土壌水分計を設置した。土壌温度は1時間間隔で、林冠温度は10分間隔で計測を開始した。
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