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2003 Fiscal Year Annual Research Report

森林群集内で同調するマスティングの要因とその生態的意義

Research Project

Project/Area Number 14740429
Research InstitutionForestry and Forest Products Research Institute

Principal Investigator

柴田 銃江  独立行政法人森林総合研究所, 森林植生研究領域, 主任研究員 (10343807)

Keywordsマスティング / 種子生産 / 落葉広葉樹林 / 小川群落保護林
Research Abstract

この研究は、冷温帯林での群集レベルのマスティングの実態とその生態的意義を明らかにすることを目的とする。今回は、北茨城の長期森林動態試験地における種子生産と実生発生の年変動データをもとに、マスティングの適応的意義に関する仮説として注目されている捕食者飽食説と受粉効率説を、個体群、ギルド、群集レベルで検討し、森林群集全体でおこるマスティングの適当的意義とメカニズムを考えた。
解析の結果、この森林を構成する多くの風媒樹種は、開花量が多い年ほど秋にできる健全な種子数も多く、しいな率が低くなることがわかった。また、以前から報告されていたクマシデ属の場合と同様に、ブナ属やコナラ属等においても、それぞれ近縁な樹種がより同調した種子生産の年変動パターンを示し、さらに近縁の樹種が同調して豊作な年ほど各樹種の種子の虫害率も低くなることが明らかになった。その一方で、群集全体の種子豊凶に対応して実生発生率が高くなる傾向(つまり群集全体の豊凶によってネズミ類などジェネラリスト的捕食者からの被食を逃れるという適応的利点)は、多くの樹種で検出できなかった。
以上のように、この森林では、マスティングの利点として、個体群レベルの受粉効率と捕食者飽食、同属レベルの捕食者飽食があることを示唆する結果を得たが、群集レベルでの捕食者飽食効果は明確に認められなかった。このことから、個体群および種子食ギルドレベルでのマスティングの利点(究極要因)と、開花シグナルとして認識できるなんらかの環境条件(至近要因)とが複合的に働くことで、様々な樹種間で同調した豊凶がおこると推測している。

URL: 

Published: 2005-04-18   Modified: 2016-04-21  

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