2003 Fiscal Year Annual Research Report
花弁の開花運動におけるアクチンフィラメントの構造的・生化学的変化の解析
Project/Area Number |
14740434
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
中西 史 東京学芸大学, 教育学部・第三部, 講師 (30293004)
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Keywords | アクチン / アサガオ / 開花 / 開閉運動 / 光応答 / 偏差成長 |
Research Abstract |
花弁の開閉運動は,花弁の内側と外側の偏差成長に起因する.昨年度までに,暗期によって開花が誘導されるアサガオPharbitis (Ipomoea) nil st.Violetを材料として,「開花にはアクチン繊維(AF)の存在が不可欠であり,開花過程において,開花運動の中心となる花弁中肋の向軸側と背軸側で,それぞれに異なるAFの配向変化が起こる」ことを明らかにした. アクチンが関与する生理現象には,微小管も関与する場合が多いことから,開花に対する微小管の関与を調べた.重合阻害剤の投与実験や,間接蛍光抗体法による微小管の観察の結果,アサガオ花弁ではAFと微小管の配向は異なり,重合阻害剤による微小管の破壊はAFの配向や開花には影響を与えないことを明らかにした. また,自然科学研究機構基礎生物学研究所の飯田滋らによって作成されたアサガオ花器官ESTデータベースを活用し,アサガオ花器官で発現する9種類のアクチン遺伝子の全塩基配列決定を行い,それらの開花過程における花弁での発現パターンの変化をRT-PCRにより調べた.9つのアクチン遺伝子相互の相同性は塩基レベルで75〜99%,推定アミノ酸レベルで88〜99%であった.これらのアクチン遺伝子の花弁における発現量は,開花2日前から開花日の夕方にかけて,遺伝子ごとに特徴的な変動を示した.現在,各アクチン遺伝子の花弁における発現部位の特定,光条件の発現パターンに対する影響を調べている. 昨年度から引き続き,アサガオ花弁からのアクチン結合タンパク質の検出を行い,ウサギ由来のアクチン繊維と共沈する複数のタンパク質の検出に成功した.現在,それらの開花に対する関与の検証を行っている.
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