2002 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロアレイを用いた植物ホルモンオーキシンの作用機構の解明
Project/Area Number |
14740442
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澤 進一郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (00315748)
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Keywords | マイクロアレイ / ジーンチップ / 植物ホルモン / オーキシン / シグナル伝達 / 転写因子 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
高等植物の形態形成に重要な機能を持つと考えられる植物ホルモン、オーキシンの,作用機構を分子レベルで解明するために、affymetrix社のgene tipを用いたスクリーニングを行った。シロイヌナズナの約8000の遺伝子において、オーキシン添加15分後の発現量の変動を解析した結果、オーキシン誘導性を示す29個の遺伝子とオーキシン抑制性を示す1つの遺伝子を同定した。中でも特に発現誘導が顕著に見られたHd-Zip遺伝子であるHAT2に注目した。ノザン解析により、HAT2遺伝子はオーキシン添加後約10分で発現が誘導され1時聞後にその発現が最大になり、その後も高い発現が少なくとも8時間維持されることが明らかとなった。このことは、形態形成等を含むオーキシンの長期的な応答にHAT2が寄与することを示唆している。また、HAT2はオーキシン以外の植物ホルモンには応答しないことも明らかとなった。さらに、tir1突然変異体ではHAT2のオーキシンによる発現誘導がおきないためにHAT2はTIR1の下流で機能することも示唆された。HAT2を過剰発現させると地上部ではオーキシン過剰生産状態の表現型を示し、地下部ではオーキシン欠乏状態の表現型を示した。オーキシン量は野生型と変化がないために、HAT2過剰発現株ではオーキシンのシグナルが地上部では過剰に入り、地下部では入りにくいことが示唆された。一方、HAT2過剰発現株ではHAT2を含めたHD-Zips subfamily IIの遺伝子の発現が軒並み減少していた。さちに、HAT2に転写活性化ドメインを融合させた転写活性化型HAT2を作成し過剰発現したところ、HAT2を含めたファミリー遺伝子の発現が誘導された。これらのことから、HAT2はオーキシンシグナル伝達系において、TIR1の下流で機能し、自分自身を含めた遺伝子ファミリーの転写を抑制していることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shinichiro Sawa: "The HAT2 gene, a member of the HD-Zip gene family, isolated as an auxin inducible gene by DNA microarray screening affects auxin response in Arabidopsis"Plant Journal. 32. 1011-1022 (2002)
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[Publications] 澤 進一郎: "オーキシン"新しい植物ホルモンの科学(講談社). 16-36 (2002)
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[Publications] Shinichiro Sawa: "Overexpression of the AtmyIL2 gene represses trichome development in Arabidopsis"DNA Research. 9. 31-34 (2002)