2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒメツリガネゴケを用いた細胞の極性形成および不等分裂に関わる遺伝子の単離と解析
Project/Area Number |
14740446
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
藤田 知道 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (50322631)
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Keywords | 不等分裂 / 細胞極性 / プロトプラスト / 再生 / 細胞分化 / EST / 完全長cDNA / 過剰発現 |
Research Abstract |
完全長cDNAの一過的過剰発現により、偏光下におけるプロトプラストの初期再生過程の異常を引き起こす原因遣伝子群のスクリーニング 1、ヒメツリガネゴケの原糸体から作成した3種類(無処理、オーキシン処理、サイトカイニン処理)の完全長cDNAライブラリーから、合計8万5千のEST配列解析を行った。これらのクローンは、約1万3千の独立した遺伝子に分類できた。その3分の2以上の遺伝子は、被子植物遺伝子と共通しており、ヒメツリガネゴケ完全長クローンを用いた解析から植物細胞の細胞極性形成や不等分裂に関わる因子の同定が十分可能であることが裏付けられた(論文投稿中)。これらの全遺伝子配列情報、相同性検索などを可能にしたデータベースの公開準備も進めている。 2、決定した塩基配列にもとづき、光合成や1次代謝、2次代謝に関わるクローンを除いた約4千の独立した完全長cDNAクローンの選抜を行った。このうち約3千クローンを過剰発現用ベクターにサブクローニングした。 3、サブクローニング完了済みクローンのうち、約2千2百個の独立したプラスミドをプロトプラストに形質転換し、偏光下でその再生過程を観察した。この結果、約7%のクローンで、極性形成や不等分裂に関係があると考えられる異常を示した。これらの中には、最初の不等分裂が等分裂になるもの(酵母の極性形成因子、SCARECROW様遺伝子)、細胞分裂軸がたくさんでき複数の方向に幹細胞を形成するもの(アクチン遺伝子、BRICK1ホモローグ、機能未知遺伝子)、頂端幹細胞の先端成長の再生異常(細胞周期関連遺伝子、機能未知遺伝子)、不等分裂がおこらず1細胞のまま等方位性を保って大きくなったもの(クロマチン構造関連遺伝子、機能未知遺伝子)などが含まれていた。過剰発現による1次スクリーニングと並行して、これら候補遺伝子のより詳細な解析も進めていく。
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