2002 Fiscal Year Annual Research Report
RNAiを用いた植物の環境ストレス・ホルモン応答性プロテインキナーゼ遺伝子の解析
Project/Area Number |
14740451
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
吉田 理一郎 理化学研究所, 植物変異開発研究チーム, 研究員 (70301786)
|
Keywords | アブシジン酸 / シグナル伝達 / プロテインキナーゼ / 乾燥ストレス / シロイヌナズナ / SnRK2 |
Research Abstract |
本研究ではRNAiを用いることにより、植物ホルモンのアブシジン酸(ABA)および浸透圧ストレスにより特異的に活性化されるプロテインキナーゼ遺伝子の発現を効果的に抑制し、その影響を植物体および培養細胞レベルで詳細に解析することを目的とした。しかしながらRNAiは、1)ベクターの構築が難しい、2)形質転換した植物体において明確な発現抑制を示すラインが少ない、3)発現抑制効果が後代で低下する、等幾つかの問題点が判明した。そこで、本研究ではRNAiを用いた解析法から、目的の遺伝子にタグが挿入された遺伝子機能破壊株を用いた解析法に変更した。シグナル伝達では、注目するシグナル因子が質的に機能するか、あるいは量的に機能するかは不明である。その点を解明するためにはその遺伝子の機能を完全に欠失させた変異体を用いた解析が相応しいと考えられる。本年度はABAおよび浸透圧ストレス応答に関与すると思われるシロイヌナズナSnRK2プロテインキナーゼに注目した。SnRK2遺伝子はシロイヌナズナゲノムに10個存在することが明らかにされ、そのうち7つの遺伝子についてT-DNAが挿入された変異体が得られた。その一つであるSRK2Eの遺伝子破壊株srk2eは、ABAによる孔辺細胞の閉鎖が正常に機能せず、急激な湿度低下に対する適応能力を失っていた(Yoshida et al.,2002)。更にSRK2Eを過剰発現させた形質転換植物・細胞や抗SRK2E抗体を用いた解析から、SRK2Eが実際にABAおよび湿度低下により活性化されることを明らかにした。また、幾つかのSnRK2遺伝子をシロイヌナズナ培養細胞で過剰発現し、各々のABAあるいは浸透圧ストレスによる活性化を調査したところ、a)ABA、b)ABA・浸透圧ストレス双方、c)浸透圧ストレス、により各々活性化されるタイプに分類されることが示唆された。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Riichiro Yoshida, Tokunori Hobo, Kazuya Ishimura, Tsuyoshi Mizoguchi, Fuminori Takahashi, Jose Aronso, Joseph R.Ecker, Kazuo Shinozaki: "ABA-activated SnRK2 protein kinase is required for dehydration stress signaling in Arabidopsis"Plant cell and Physiology. 43(2). 1473-1483 (2002)