2002 Fiscal Year Annual Research Report
広塩性両生魚トビハゼの腸上皮分化におけるプロラクチンの役割の分子細胞生物学的解析
Project/Area Number |
14740458
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
坂本 竜哉 広島大学, 総合科学部, 助手 (10294480)
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Keywords | プロラクチン / 環境適応 / 浸透圧調節 / 消化管 / アポトーシス / 細胞増殖 / 遺伝子発現 / 成長ホルモン |
Research Abstract |
プロラクチン(PRL)は多様な作用を持つホルモンである。本研究では、「PRL作用の本質がアポトーシスの抑制および細胞増殖/分化である」という仮説と局所的PRLの役割を、広塩性両性魚であるトビハゼを用いて検討する。本年度においては、トビハゼが淡水、海水あるいは陸上に適応する過程で、消化管における、PRLなどの発現、およびアポトーシスと細胞増殖を解析した。 細胞増殖は、^3Hチミジン投与後の放射活性により調べた。また、アポトーシスは、まず、アガロースゲル電気泳動による染色体DNAの断片化パターンを、半定量的に解析した。細胞増殖は、淡水中で海水中よりも誘導されていた。一方、アポトーシスは、逆に、海水適応時に起こっていた。PRLのパターンは、細胞増殖とよく同調していた。 これらは、消化管が、淡水中では多重上皮であるが、海水中では細胞が脱落して単層上皮となることと軌を一にしている。PRL特に消化管上皮のものは、淡水中で、アポトーシスによる消化管上皮脱落の抑制や細胞増殖/分化に寄与していると思われる。また、成長ホルモンも、消化管における発現は淡水中で上昇しており、細胞増殖に関与している可能性がある。両生類の変態における知見や、これらのホルモンの受容体が免疫系などでやはりアポトーシスの抑制/細胞増殖に重要なサイトカイン受容体スーパーファミリーに属することから、このような機能は、成長ホルモン/PRLの基本的なものであると考えられる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Sakamoto, T.: "Intraarterial injection of prolactin-releasing peptide elevates prolactin gene expression and plasma prolactin levels in rainbow trout"J. Comp. Physiol. B. (in press). (2003)
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[Publications] Sakamoto, T.: "Calcium ion triggeres the rapid morphological oscillation of chloride cells in the mudskipper"J. Comp. Physiol. B. 172. 435-439 (2002)
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[Publications] Sakamoto, T.: "Growth hormone and prolactin expression during environmental adaptation of gobies"Fish. Sci.. 68S. 757-760 (2002)
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[Publications] Sakamoto, T.: "Differential display of skin mRNAs regulated during adaptation of mudskipper to different environments"J. Comp. Physiol. B. 172. 447-453 (2002)
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[Publications] Seale, A.P.: "Isolation and characterization of a homologue of mammalian prolactin-releasing peptide from the tilapia brain and its effect on prolactin release from the tilapia pituitary"Gen. Comp. Endocrinol.. 125. 328-339 (2002)
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[Publications] Agustsson, T.: "Pituitary gene expression of somatolactin, prolactin, and growth hormone during Atlantic salmon parr-smolt transformation"Aquaculture. (in press). (2003)
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[Publications] Sakamoto, T.: "Int.Rev.Cytol.225"Academic Press. 40 (2002)