2003 Fiscal Year Annual Research Report
非哺乳類におけるグレリンの構造決定とその生理的意義の解明
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14740460
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
海谷 啓之 国立循環器病センター研究所, 生化学部, 室員 (40300975)
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Keywords | グレリン / ニジマス / 胃 / cDNA / 遺伝子構造 / 成長ホルモン / プロラクチン / ソマトラクチン |
Research Abstract |
ニジマス(硬骨魚類)におけるグレリンの単離とその生理作用 本研究において、ニジマスの胃からグレリンを単離・同定することに成功した。ニジマスのグレリンは23アミノ酸からなる、C末端がアミド化されたペプチド(rt ghrelin)を基本型として、その13番目から15番目のアミノ酸(VRQ)が欠如したdes-VRQ rt ghrelin、またそれらの非アミド化物(rt ghrelin-Gly、des-VRQ rt ghrelin-Gly)の4種が存在する。それらの分子に様々な脂肪酸が付加することにより、計14種のグレリンが同定された。ニジマスグレリンの前駆体蛋白質をコードするcDNAを単離したところ、rt ghrelinとdes-VRQ rt ghrelinに対応する2種類のcDNAが存在した。ニジマスグレリン遺伝子の構造を調べたところ、5エクソン-4イントロン構造であり、2種類のcDNAはエクソン2と3が結合する際の選択的スプライシングによって産生されることがわかった。グレリンmRNAの発現は胃で最も多く、次いで消化管、心臓、脳で多かった。合成したオクタノイル化rt ghrelinとdes-VRQ rt ghrelinをラットに静注すると、血漿成長ホルモン(GH)濃度が上昇したが、その効果はラットグレリンと同等であった。また、ニジマスで下垂体ホルモン分泌に対する作用を調べるためdes-VRQ rt ghrelinを腹腔内に投与した結果、血漿GH濃度は上昇したが、他の下垂体ホルモンであるプロラクチン(PRL)やソマトラクチン(SL)は変化しなかった。また、同様の効果がニジマスの下垂体器官培養系でも確認された。これらの結果から、グレリンの主要な産生部位は胃であることが確認された。また、遺伝子構造は他魚種のティラピアの4エクソン-3イントロン構造とは違っていた。作用においては、これまでティラピアの下垂体を用いた器官培養系で、グレリンはGH、PRL両方の分泌を促進させたが、本研究の結果はグレリンの下垂体に対する作用は魚種によって異なることを示唆している。
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[Publications] Kaiya, H.: "Identification of tilapia ghrelin and its effects on growth hormone and prolactin release in the tilapia, Oreochromis mossambicus."Comparative Biochemistry and Physiology Part A. 135(3). 421-429 (2003)
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[Publications] Kaiya, H.: "Peptide purification, complementary deoxyribonucleic acid (DNA) and genomic DNA cloning, and functional characterization of ghrelin in rainbow trout."Endocrinology. 144(12). 5215-5226 (2003)