2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740470
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
朝川 毅守 千葉大学, 理学部, 助手 (50213682)
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Keywords | 針葉樹 / 分子系統 / 比較形態 / 異時性 / 幼形成熟 / ヒノキ科 / マツ科 |
Research Abstract |
特殊な形態をもつ針葉樹属、Neocallitropsis及びその姉妹群となるCallitrisならびにActinostrobusについて、これまでの研究で採集し蓄積された、種子、幼樹並びに成樹の標本を用い、葉のサイズや形などの総合的な外部形態、走査型電子顕微鏡を用いた微細な表面形態、切片による内部形態の観察を行い、14年の植物学会大会で報告した。その結果ではNeocallitropsisは幼形の段階では葉の向軸側の気孔の有無を除き、Callitrisの一部の種に良く似ている。気孔の分布はActinostrobusと同じであり、この点で近縁な2属の形質を併せ持っていることがわかった。さらにNeocallitropsis成熟形では、葉序と長い葉を残したままCallitrisで頻繁に見られる不明瞭なパピラや葉縁突起、Actinostrobusで頻繁に見られる気孔の特徴とともに、Neocallitropsis独自の形質が現れることによって、独特の栄養器官を持つようになったと考えられる。さらに新たにオーストラリアで採集されたさく葉標本を用いて形態の解析を進めると共に、より多くの種の幼形を観察すべくCallitrisの種子を播種し、栽培を開始した。 形態観察用の試料と同時に採集された葉のシリカゲル乾燥サンプルを用いて、Pinusとその姉妹群、ならびにNeocallitropsisとその姉妹群について、できるだけ多くの分類群を用いて分子系統解析を進めた。Pinus属の系統解析ではすでに報告されている葉緑体DNAに加え、ミトコンドリアならびに核のシングルコピー遺伝子の解析を進めている。Neocallitropsisについては葉緑体のいくつかの領域について塩基配列を決定している.
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