2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740477
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Research Institution | Lake Biwa Museum |
Principal Investigator |
桝永 一宏 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 学芸員 (50344346)
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Keywords | 系統 / 進化 / 分類 / 生物地理 / 分子系統 / 双翅目 / 種分化 / 分散 |
Research Abstract |
北太平洋地域の海洋島である小笠原諸島(父島,母島)とハワイ諸島(カウアイ島,オワフ島,モロカイ島,ラナイ島,マウイ島,ハワイ島)の計8島21地点で,双翅目昆虫の海洋性アシナガバエについての徹底的な分布調査を行い,本グループの北太平洋地域の海洋島における生物地理図を作成した.その結果,小笠原諸島からは2新種,ハワイ諸島からは5新種と1既知種を採集した.これらの種はすべて他の地域からは発見されていない固有種であった.しかし,これら全ての種は,東アジア地域に分布する種との共通する属であった.採集に適した季節と調査地点の状況から,これらの地域での現生種の解明率は,ほぼ100%に達成したと思われる.このことは,今後の解析におけるデータの正確性が高められると予想される.採集した未記載種についての新種記載はほぼ最終段階で,投稿の準備をすすめている.DNA解析は,すべての調査地点でDNA解析用のアルコール標本を採集することができた.採集された全ての種についてDNAの抽出を行い,ミトコンドリアのND5遺伝子の1075塩基対について分子系統解析を行った.得られたND5遺伝子に基づく分子系統樹から,ハワイ諸島への分散が少なくとも2度あったことが示唆された.また,小笠原産の1種については,日本産の種よりもハワイ産の種と近縁であり,その姉妹群関係が示唆された.現在,DNA解析の個体数を増やして,島の成立年代を利用した種の分岐年代の推定を行っている.
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