2002 Fiscal Year Annual Research Report
人類における骨の左右差-全身骨格を用いた総合的研究-
Project/Area Number |
14740478
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂上 和弘 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70333789)
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Keywords | 全身骨 / 左右差 / 体幹骨 / 四肢骨 / 力学的負荷 |
Research Abstract |
人骨における左右差の出現様式を把握するためには、年齢・性別が既知で全計測項目を利用できるという条件を満たさなければならない。また、左右差は計測誤差の影響を受けやすいため、計測の定義を明確化し、その有効性を検証しなければならない。最終的に利用できる計測項目は、頭蓋骨9変数、下顎骨4変数、鎖骨4変数、肩甲骨4変数、上腕骨9変数、橈骨6変数、尺骨8変数、第1中手骨6変数、第3中手骨6変数、寛骨3変数、大腿骨8変数、脛骨9変数、腓骨6変数、第1中足骨6変数の計88変数となった。また、個体数は男性32、女性20の計52個体であり、予想されたよりも少数であった。現在における解析では、鎖骨、下顎骨、頭蓋骨、肩甲骨における左右差が大きく、四肢の骨の左右差はより小さい傾向がみられた。これは、「そもそも体幹部の左右差は一つの部分における左右の偏りであり、左右で独立している四肢部の左右差とは質的に異なる」という予測と適合した。しかし、変数によっては、この一般的傾向を覆すものもあり、更なる分析が必要である。左右差を利用して、力学的負荷の受けやすい部位と受け難い部位の推定も解析が進んでおり、特に肘関節部の幅方向の大きさが負荷の影響を受けて変化しやすい部位であることが判明した。また、利き手との関係性を調べるために、上肢骨の計測項目における左右差を調べたところ、上腕骨の遠位部分、橈骨・尺骨の近位部分、そして第1中手骨の変数は相互に関係し、利き手との関係が推測されるが、それ以外の変数は関係しない可能性が高い、という結果が得られた。
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