2002 Fiscal Year Annual Research Report
導電性ポリマーをマトリックスとした量子化ナノ微粒子分散系における三次元配列制御
Project/Area Number |
14750012
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
手塚 美彦 徳島大学, 工学部, 講師 (80236976)
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Keywords | 導電性ポリマー / ポリチオフェン / デヒドロアラニン / ナノ微粒子 / 両親媒性 / 有機EL |
Research Abstract |
マトリックスとなる導電性ポリマーをナノ微粒子化するために,本研究では温度に応答して水中で安定にナノ微粒子を形成するデヒドロアラニンポリマーの特性を利用する.そこで,デヒドロアラニンポリマーの分子構造とナノ微粒子の形成能およびその安定性との関係について検討した.その結果,分子全体の親水性/疎水性のバランスだけでなく,会合状態における側鎖の双極子モーメントの配向が微粒子の分散状態の安定性に大きく寄与していることが明らかとなった.粒子径が100nm以上になる,もしくは沈殿するナノ微粒子形成能の低いデヒドロアラニンポリマーにおいても温度ジャンプの手法を用いれば粒子径を100nm以下に抑えられ,分散状態も安定化することがわかった.以上の知見をもとに,水中でも安定な導電性ポリマーであるポリアルキルチオフェンをポリアセチルデヒドロアラニンに連結させた.分子内にデヒドロアラニン部とチオフェン環をもつ分子を合成し,これを連結分子とし,まず酸化重合によりポリチオフェン構造を形成し,続いてラジカル重合によりポリデヒドロアラニン構造を形成した.合成手順を逆にした場合はポリチオフェン構造は形成されなかった.分子内にポリチオフェン構造とポリデヒドロアラニン構造をもつ両親媒性ポリマーは種々の極性溶媒の他,弱アルカリ水にも可溶であった.水中で蛍光スペクトルを測定したところ,波長550nmにピークをもつ強い蛍光と同時に会合体の形成によると思われる白色の散乱光の揺らぎが観測されたが,会合体の粒子径については蛍光の存在により動的光散乱法による解析は困難であった.この溶液からITO電極上にキャストフィルムを作成し,アルミニウムを蒸着して電圧を印加したところ,微弱ながら黄色のEL発光が観測された.
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