2004 Fiscal Year Annual Research Report
導電性ポリマーをマトリックスとした量子化ナノ微粒子分散系における三次元配列制御
Project/Area Number |
14750012
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
手塚 美彦 徳島大学, 工学部, 講師 (80236976)
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Keywords | 導電性ポリマー / ポリチオフェン / ナノ微粒子 / フラーレン / CdSe / 光誘起電子移動 |
Research Abstract |
ポリデヒドロアラニン構造とポリチオフェン構造を連結した両親媒性ポリチオフェンを用いて、導電性ポリマーマトリックス中にフラーレンC_<60>及びCdSeナノ微粒子をそれぞれ分散したコンポジットフィルムを作成した。C_<60>はポリマーマトリックス中に均一に分子分散し、ITO電極とアルミニウム電極によるサンドイッチセルは明瞭なダイオード特性を示した。一方、CdSeナノ微粒子はキャスト過程で凝集し、再分散も困難であった。これらの結果から、CdSeナノ微粒子を導電性ポリマーマトリックス中に均一に分散するためには、導電性ポリマー自身がCdSeナノ微粒子表面に配位し、その分散状態を安定化する必要があると考えられる。そこで配位能を有する導電性ポリマーとしてピリジンとアルコキシベンゼンとの交互共重合体を合成し、配位子交換によりCdSeナノ微粒子分散フィルムを作成した。具体的手順は以下の通りである:トリオクチルホスフィンなどの低分子配位子で安定化されたCdSeナノ微粒子を導電性ポリマーとともにクロロホルム溶液からキャスト法により成膜した。このフィルムを減圧下でポリマーのガラス転移点以上に加熱することにより低分子配位子を留去した。重量変化及びFT-IRスペクトルから低分子配位子がほぼ完全に除去されていることが確認された。低分子配位子を除去したCdSeナノ微粒子と導電性ポリマーのコンポジットフィルムはCdSeナノ微粒子に特徴的な吸収スペクトルの形状を保持しており、またクロロホルムに再溶解できることから、導電性ポリマーのピリジン環がCdSeナノ微粒子に配位することによってマトリックス中でその分散状態を安定化していると考えられる。さらにポリマーの強い蛍光がCdSeナノ微粒子のドーピングにより消光されることから、ポリマーからCdSeナノ微粒子への光誘起電子移動が示唆された。
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