2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14750021
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
長島 礼人 東京工業大学, 大学院・理工学研究科(物性物理学専攻), 助手 (30277834)
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Keywords | ナノ構造 / 磁性 / 走査トンネル顕微鏡 / 磁化制御 / 電流注入 / 磁性探針 |
Research Abstract |
本研究では、自己組織的手法によって磁性ナノドットを数十nmの間隔で高密度に形成する適切な材料および作製条件を探索すると共に、10nm程度のドットの磁化を、隣接ドットの磁化は乱すことなく、検出・制御する手法の確立を目指している。具体的には、走査トンネル顕微鏡(STM)を利用し、スピン偏極電子を探針から磁性ドットへ(あるいはその反対方向に)トンネル注入することでドットの磁化の制御を試みる。これに向けて、平成14年度は以下のことを準備した。 スピン偏極電子をトンネル注入するには、STM探針が磁性材料を構成要素として持つ必要がある。その一方で、探針から生ずる巨視的磁場がドットの磁化方向を乱すことは避けなければならない。以上2つの要請を両立するため、非磁性のタングステン探針に磁性物質を数-十数原子層だけ蒸着した探針を用いる事とした。再現性のあるデータを得るには、磁性薄膜の表面を超高真空中で長時間清浄に保持することが必須である。蒸着中の真空度の劣化を5×10^<-10>Torr以下に抑制できる電子衝撃加熱型の蒸着装置を作製/導入した。蒸着材料として、強磁性のFeとCo、及び反強磁性のCrを装備した。 スピン偏極電子のトンネル注入によってドットの磁化反転を再現性良く行うには、探針の形状、及びそこに蒸着した薄膜の磁気特性の再現性向上は必須である。そのため、探針作製と走査電子顕微鏡(SEM)による探針形状の評価を繰り返し行い、電解研磨の条件と探針形状の相関の理解に努めた。また、加熱による探針の清浄化と結晶粒径の増大によって、蒸着膜の特性の再現性が向上することを意図した。超高真空中において、探針先端を2300K以上に加熱でき、同時に光学的温度測定も行える加熱機構を作製/導入した。
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