Research Abstract |
ファイバ・ファブリ・ペロ(FFP)共振器型光デバイスは,波長多重通信におけるフィルタなどへの適用が実用化されている.しかしながら従来の構造では,いったん作製すると広い範囲で共振器長を変化させることができない.本研究では,構造が簡単であり,可変波長領域の広いFFP共振器を提案し,作製・評価を行なった. 昨年度の研究において,コア拡大ファイバを用いることにより,ファイバから出た光ビームの回折広がりを抑制し,多層膜ミラー間すなわち共振器内にファィバを用いることなく共振器長を大きくすることができ,可変波長領域を大きくすることが可能であることを確認した. 本年度は,さらに回折広がりを抑えるため,ファイバ端面を平面研磨した後,布製の研磨輪と研磨材を用いてバフ研磨し,凹面形状に加工した.その後,端面に誘電体多層膜ミラーを蒸着し,両ファイバの軸合わせはこれまで同様,軸あわせを容易にするため,割スリーブを用い対向するフェルールを整列した.凹面に加工することにより,光ビームの回折による広がりを抑えることができ,共振器内にファイバを用いることなく共振器長Lを大きくすることができる.すなわち,可変波長領域を広くすることができる.作製したFFP共振器のコア径は,20,30,35μmおよび10μm(通常のシングルモードファイバ)であり,端面の曲率半径は,0.51,0.95,1.48mmであった.コア径,曲率半径,共振器長をパラメータとして,凹面コア拡大FFP共振器の損失,偏波依存性損失(PDL),Finesse及び消光比を評価した.コア径20μm,曲率半径0.51mm,共振器長96μmのとき,損失0.78dB, PDL0.031dB, Finesse79.06,消光比36.4dBを得た. 以上,コア拡大ファイバを用い,端面を凹面形状にすることで,簡単な構造で可変波長領域の広いファィバ・ファブリ・ペロ光共振器を作製することができたといえる. なお,本研究で提案したFFP共振器の構造は特許出願中である.
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