2002 Fiscal Year Annual Research Report
繰返し応力下における構造用セラミックスの自己き裂治癒機構の解明
Project/Area Number |
14750056
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
高橋 宏治 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 講師 (90334630)
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Keywords | き裂治癒 / セラミックス / 窒化ケイ素 / 予き裂 / き裂伝ぱ / 曲げ強度 / 疲労強度 |
Research Abstract |
本研究の目的は,構造用セラミックスの繰返し応力下におけるき裂治癒挙動を明らかにすることである.供試材として,優れたき裂治癒能力を有する窒化ケイ素セラミックスを選択した.100μmの表面き裂を導入した後,試験片に一定応力または繰返し応力を負荷した状態で,800℃〜1200℃の大気中において所定の時間熱処理を行った.熱処理後の試験片の室温における曲げ強度を測定し,き裂治癒の有無を調査した.さらに,それぞれのき裂治癒温度においても,三点曲げ強度,静疲労強度特性および繰返し曲げ疲労強度特性を調査した.その結果,以下の点が明らかとなった. (1)100μm予き裂材の曲げ強度の70%程度の一定または繰返し応力下において,所定の時間熱処理を行った.100μmの予き裂を導入することにより,試験片の曲げ強度は半分以下まで低下するが,熱処理後の試験片の曲げ強度は平滑材の曲げ強度と同等の値まで強度が回復していた.しかも,ほとんどの試験片の破断起点はき裂治癒部以外である.したがって,極めて厳しい応力下においてもき裂を完全に自己治癒することができることが明らかとなった. (2)一定および繰返し応力下でき裂治癒を行った試験片の治癒温度における静疲労限度および繰返し疲労限度は治癒材の曲げ強度の70〜80%程度の値であり,き裂治癒部の疲労強度は十分に高いことが明らかとなった.疲労限度が極めて高い理由は,疲労試験中においてもき裂治癒現象が生じたことによるものと考えられる. (3)応力下のき裂治癒挙動は,き裂伝ぱ速度とき裂治癒速度の競合関係により説明できる. (4)上記の結論より,本研究で用いた窒化ケイ素は,温度,応力および環境の条件によっては,使用中に生じたき裂をその場で治癒する能力を有していると言える.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] K.Ando, K.Takahashi, 他5名: "Crack-healing behavior of Si_3N_4/SiC ceramics under stress and fatigue strength at the temperature of healing (1000℃)"Journal of the European Ceramic Society. 22-8. 1339-1346 (2002)
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[Publications] 安藤, 高橋, 他3名: "高温域での一定あるいは繰返し応力下における構造用セラミックスのき裂治ゆ挙動"日本セラミックス協会学術論文誌. 110-8. 741-747 (2002)
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[Publications] 高橋 他4名: "窒化けい素セラミックスの曲げ応力下における自己き裂治癒挙動とき裂治癒温度での強度特性"日本機械学会論文集A編. 68-671. 1063-1070 (2002)
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[Publications] K.Ando, K.Takahashi, 他2名: "Crack-Healing Behavior of Si_3N_4/SiC Ceramics under Cyclic Stress and Resultant Fatigue Strength at the Healing Temperature"Journal of the American Ceramic Society. 85-9. 2268-2272 (2002)
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[Publications] K.Takahashi, 他4名: "Crack-Healing Behavior of Si_3N_4/SiC under Stress and Static Fatigue Strength at the Healing Temperatures of 800, 900, 1000℃"Journal of the European Ceramic Society. (印刷中). (2003)