2002 Fiscal Year Annual Research Report
フォトクロミック染料のレーザ干渉露光によるマイクロ画像速度計測
Project/Area Number |
14750109
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
三神 史彦 千葉大学, 工学部, 助手 (40272348)
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Keywords | マイクロ流れ / 可視化 / 分子マーカ / 二光束干渉法 / フォトクロミック法 / 紫外レーザ / ポアズイユ流れ / 毛細血管 |
Research Abstract |
本研究は,干渉性に優れた紫外レーザ光によって生ずる干渉縞の微細な明暗パターンを,紫外線によって変色するフォトクロミック染料に照射して流体をラベリングすることにより,トレーサ粒子の混入が難しいミクロなスケールの流れの可視化画像計測を行うことを目的としている.本年度は,1.干渉光学系,2.マイクロ流路,3.撮影システムを構築した. 1.干渉光学系:光源にHe-Cdレーザ(20mW,波長325nm)を用いて,二光束干渉法によって干渉縞を作成した.さらに,シリンドリカルレンズでビームを一方向に集光することによって,流路内に幅約8μm,フリンジ間隔13〜52μmの光の点列を作成した. 2.マイクロ流路:内径620μmの石英毛細管を用いた.石英と同じ屈折率の流体を満たした矩形容器内に流路を入れることによって,屈折の影響を除去した.実験流体には屈折率整合流体にフォトクロミック染料のアセトン溶液を混入したものを用い,静水圧差によって流路内に流入させ,定常流を得た. 3.撮影システム:高解像度CCDカメラに顕微鏡対物レンズ(10×,NA=0.25)を取り付け,マイクロ流路内の流動を観察した.紫外光センサとデジタルリターダを用いることによって,任意のレーザ照射時間における可視化写真を撮影した. 本装置を用いて,毛細管内のポアズイユ流れの流脈による可視化と,微小循環を想定した毛細管内の球形微粒子を含む流れについて可視化を行い,以下の知見を得た. 1.最小29μm間隔の流脈によるポアズイユ流れの可視化に成功し,理論値と一致する速度分布が得られた.フリンジ間隔13μmでは流脈がぼやけ,明瞭に可視化することができなかった. 2.平均粒径500μmの粒子を含む流れでは,流脈が曲がるようすが捉えられ,粒子間隙の渦運動の存在を確認することができた. 今後,タイムラインを併用することにより,速度2成分の計測を予定している.
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