2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14750115
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小菅 真吾 京都大学, 工学研究科, 助手 (40335188)
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Keywords | 希薄気体力学 / 分子気体力学 / ボルツマン方程式 / 気体分子運動論 / 混合気体 / 熱遷移流 / 拡散すべり / オンサガーの相反定理 |
Research Abstract |
本年度は,以下の二つの問題を調べた. 1.平行二平板間の二成分混合希薄気体に平板沿って誘起されるポアズイユ流・熱遷移流・濃度勾配による流れ:気体中の圧力勾配,成分濃度の勾配,および平板温度の勾配は十分小さいとし,線形化ボルツマン方程式(剛体球分子)に基づき,これらの勾配により生じる三種の流れを,高精度の差分計算により解析した.主な結果は以下の通りである. (1)平板間を流れる質量流量:熱遷移流では,希薄度(分子の平均自由行程÷平板間距離)が零では流量も零で,希薄度が増すと単調増加する.ポアズイユ流では,希薄度が零では対応する古典気体力学の結果に一致し,中間の希薄度で最小値をとった後,希薄度と共に増大する.これらの挙動は,単成分気体の場合と同じである.濃度勾配による流れでは,各成分が互いに逆向きに流れると同時に,混合気体全体として分子が重い成分が拡散する向きに流れが起こる.この流れによる質量流量は,熱遷移流による質量流量と同じ挙動を示す. (2)速度分布関数の挙動を詳細に求めた. (3)オンサガーの相反定理が成り立つことを,数値的に確認した. 2.異温度平面凝縮相の間の非凝縮性気体を含む蒸気流:この問題では,気体の希薄度が零の極限での解が,理論的に得られている.本研究の目的の一つは,この解を希薄度が小さい場合の差分計算により確認することである.しかし希薄度が小さくなるにつれ,ボルツマン方程式の衝突項(複雑な非線形五重積分項)をより高精度に求める必要が生じる.そのため速度分布関数から局所平衡分布を引いたずれに対する計算を行うことで,高精度化を目指している.この計算は現在も続行中である.なお,ずれに対する計算では,線形化ボルツマン方程式の衝突項を求める必要が生じるが,これは問題1の解析で用いたスキームに若干の変更を加えるだけで実行できる.
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Research Products
(1 results)