2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14750140
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
野村 信福 愛媛大学, 工学部, 助教授 (20263957)
|
Keywords | キャビテーション / 噴流 / 超音波 / 音響キャビテーション / 音響流 / 放射圧 / 伝熱促進 / 気泡 |
Research Abstract |
超音波を液体中に照射するとキャビテーション気泡(音響キャビテーション)が容易に発生し,気泡は数珠つなぎ状に連なって多様な流れ形態を示す.この音響キャビテーションの流れは液中の発熱体の熱伝達率を増加させる要因となるが,そのメカニズムはよくわかっていない.本研究ではこの流れに着目し,超音波ホーンを用いて流体中に噴流を発生させる方法を提案し,この噴流のメカニズムを詳細に調べた. 周波数60kHz帯の小型のホーン型振動子(ホーン先端径6mm)によって超音波がホーン先端から液中に照射された.ホーン先端近傍に多数のキャビテーション気泡が発生し,円錐状のクラウド・キャビテーションが形成される。気泡はこのクラウド内で激しく運動し,ホーン先端で最大の乱れ強さを示し,乱れの大きさは主流の40%にも達する.液中に加熱物体が存在する場合は,噴流の発生によって伝熱面は冷却されるために,同一伝熱面温度で比較すると熱伝達率は最大で約10倍程度増加した.ホーン先端で発生したキャビテーション気泡は音響放射圧力によって振動面から遠ざかる方向に移動し,気泡の存在によって音波は進行方向にますます減衰し,進行波音場が形成され直進流が発生する.この流れはホーン先端の気泡クラウドの領域をポテンシャルコアとする軸対称噴流となっていることが明らかになった. LDVおよびレンズのフーリエ変換作用を利用した光スペクトロメーターを用いてこの噴流の速度を実測した.その結果数10W程度の超音波照射したときのポテンシャルコア領域の速度は,LDVでは約0.5m/s,光スペクトロメータでは約0.1m/sの速度を得た.速度のオーダーは一致しているが,両者の測定結果には大きな違いがあり,精度,誤差などについて今後検討する必要がある.
|