加圧下における石炭の急速熱分解(揮発分および窒素分の放出挙動)

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14750150
• Research Institution: Maizuru National College of Technology
• Principal Investigator: 奥村 幸彦 舞鶴工業高等専門学校, 電子制御工学科, 助教授 (80262971)
• Keywords: 石炭 / 熱分解 / 高圧 / ガス化 / 加圧流動床 / 揮発分 / 高分子モデル / 燃焼

Research Abstract

中長期的にみて可採年数の長い石炭の有効利用は非常に重要であり、現在、高効率化・高クリーン化を目指した石炭ガス化複合発電システム、加圧流動床燃焼複合発電システムの要素研究が盛んに行われている。その中でも特に、加圧噴流床ガス化炉、加圧流動床燃焼炉などの研究が精力的に進められている。高圧下での石炭の急速熱分解過程の解明は高効率、ガス化技術を開発していくうえで重要であるにもかかわらず、それらの実験的・理論的な研究例はほとんどない。そこで、本研究では加圧型熱天秤を用いて、常圧〜高圧、さらに炭種を幅広く変化させた実験を行い、熱分解生成物に及ぼす圧力の影響を系統的に整理した。以下に得られた知見を示す。
[圧力の影響]
(1)圧力の増加に伴いCH_4ガス収率が増加する。また、CO_2,COガスも微増する傾向がある。これは、高圧下においてタールの前駆体であるメタプラストが石炭内に多く残存する結果、再結合反応が活性化することに起因すると考えられる。
(2)多くの炭種におけるC_2〜C_3系のガス収率は圧力の増加に伴い減少する。
[炭種の影響]
(3)放出揮発分量は炭素含有率の増加に伴い減少する傾向がある。
(4)大気圧下、加圧下において、H_2収率は炭種によらずほぼ一定であり、CO_2,CO収率は炭素含有率の増加に伴い単調減少する。可燃ガス中では、全炭種においてCH_4,C_2H_4の収率値が高い。
(5)加圧による放出タール量の抑制効果は炭素含有率の増加に伴い大きくなる。これは、揮発分中に占めるタールの割合が炭素含有率の増加に伴い増加することに起因する。

Research Products

• [Publications] 奥村 幸彦, 金内 健, 岡崎 健: "加圧下での石炭熱分解に及ぼす炭種の影響"第12回日本エネルギー学会年次大会論文集. 1. 24-25 (2003)
• [Publications] 奥村 幸彦, 岡崎 健: "加圧下における石炭の熱分解・燃焼機構 -石炭内の高分子反応と放出ガス組成-"熱工学コンファレンス2003講演論文集. 1. 229-230 (2003)
• [Publications] 奥村 幸彦, 金内 健, 岡崎 健: "加圧下における石炭の熱分解・燃焼機構"第41回燃焼シンポジウム講演論文集. 1. 415-416 (2003)
• [Publications] 岡崎 健, 奥村 幸彦: "揮発分放出とチャー反応の統合化によるガス化反応モデルの検討"平成15年度第1回石炭利用基盤技術会議資料(揮発化・チャーガス化会議:(独)NEDO,(財)CCUJ,日本エネルギー学会、化学工学会共催). 1-14 (2003)
• [Publications] 田原 雅哉, 奥村 幸彦, 金山 光一: "燃焼炎法で作製したダイヤモンド薄膜の誘電特性"電気関係学会関西支部大会講演論文集. 1. G135 (2003)
• [Publications] 岡崎 健, 奥村 幸彦: "揮発分放出とチャー反応の統合化によるガス化反応モデルの検討"平成15年度第3回石炭利用基盤技術会議資料(揮発化・チャーガス化会議:(独)NRDO,(財)CCUJ,日本エネルギー学会、化学工学会共催). 1-11 (2004)