Research Abstract |
本研究では,災害復旧や建設業,運搬業に活躍するためのロボットとして,体全体を用い,大型重量物体を扱うことのできる,4脚全12関節を持つ作業移動ロボットを開発してきた.本ロボットは4足歩行で移動して,作業現場に到着したら膝立ち姿勢となり,2脚を腕として用い作業する,という特徴を持っている.しかし,12関節の限られた自由度では,膝立ち姿勢となっても,作業に必要な自由度が得られるとは限らない.従来までは,脚先端を浮かし,3点で接地することにより作業に必要な自由度を確保した.しかし,片脚膝先接地は3点で接地するため,先端側に重心があるときに大きなトルクを必要とし,また,特異姿勢が生じる問題があった. 本ロボットをより有用にするためには,さらに多くの作業形態で作業を行える必要がある.そこで,手先部を使った力作業を行うことを考えた.その作業のために,簡単な付加的機構である「膝ローラ」を提案し,膝立ち姿勢における新たな接地方式を提案した.この膝ローラは膝部付近にローラを取り付けたものである.これにより,より多くの条件で胴体を滑らかに回転できるようになり,全身を用いた力作業が可能になることを明らかにした.膝ローラ方式にも特異姿勢が生じるが,特異姿勢の解析を行いその条件を示した.その結果,特異姿勢を回避して手先部力作業ができることを示した. 次に静力学と動力学解析に基づいて,より効果的に手先部に力を加える条件を示した.静力学では,膝部のトルクと重心位置を制御することによって,手先部の力を変えることができることを示した.このときにロボットと地面との接地点である脚先端,膝部,手先部が浮かないための力の範囲を示した.また,接地点を浮かさないで上記の手先部の力の範囲より大きな力を加えるためには,重心の加速度も制御する必要があることを示した.
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