Research Abstract |
最終年度である二年目は,新たな環境条件に対応した動作の推定,すなわち評価関数の推定の可能性を探るため,前年度に構築した評価関数同定による動作表現手法による表現と,その分析を行った. 前年度構築した評価関数同定手法を用いることで,計測された持ち上げ動作は,あらかじめ与えた力学的意図を表す評価式それぞれの動的な係数として表現される.新しい環境条件として,棚高さに応じた見通しのよさが必要となるため,棚高さに応じた係数の変化の分析を行うこととした.力学的意図としては,重心安定性,関節トルク低減の二つの項を考慮し,それぞれを単体で用いた場合と,両者を組み合わせた場合について,関節角度の変化とともに視覚化を行った.その結果,動的な係数の変化パターンは,関節によって,また用いる評価式(の組み合わせ)によって異なることがわかった.まず,動作全体を一かたまりで捉えた場合,ピークの位置やゲインの観点から,大きく分けて二種類のパターンが見られた.このことから,動作自体が環境条件に応じて,大きく分けていくつかのグループに分けられることが予想される.また,より詳細に結果を見ていくと,環境条件(棚高さ)に対するパラメトライズが可能であるような規則的なパターン変化が,動作を時系列データで捉えた場合に,立ち上がるフェーズ,荷物を置くフェーズなど異なる区分で現れ,評価項目の選び方によっては,関節角度パターンよりも見通しが良いことが分かった.以上から,区間毎あるいは関節毎に,評価項目を適切に切り替えることで,新たな条件での動作を推定可能であると考えられる.
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