2002 Fiscal Year Annual Research Report
電磁波の斜入射および準近傍界曝露に対する人体平均SARの評価
Project/Area Number |
14750210
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平田 晃正 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00335374)
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Keywords | 電磁波と人体の相互作用 / 比吸収率(SAR) / 斜入射 / 準近傍界 / 厳密な人体モデル / FDTD法 |
Research Abstract |
本年度は、まず、FDTD法において複雑な波を安定して発生させるためのアルゴリズムの開発およびその組み込みを行った。この方法により従来に比べて数値分散の小さい、つまり高精度な電磁波発生が実現できた。また、この手法の確立に伴い、計算コストも最大で70%削減することができ、人体に対するドジメトリ技術の進歩に大きく貢献した。ここで、削減量は入射角に依存する。次に、斜方向から電磁波が厳密な人体モデルに入射した場合に眼球内に誘導される比吸収率(SAR)を計算し、以下の知見を得た。 (1)電磁波が正面から眼球に入射した場合の方が、斜め方向からの入射に比べ、高いSARが生じる。 (2)ホットスポット周波数帯、つまり電磁波が人体中で共振を生じる場合では、必ずしも(1)項の事実は成立しない。ここで、眼球に対するホットスポット周波数は、1GHz〜3GHzである。その場合、斜め入射に対する眼球内SARは、正面入射に比べ最大50%高くなる。 (3)電磁波の吸収に伴い、人体内に温度上昇が生じる。その際、正面からの入射であろうが、斜め方向からの入射であろうが、SAR値の上昇にほぼ比例し、温度も上昇する。 (4)温度上昇は、ホットスポット周波数におけるものよりも、高い周波数帯(具体的には、4GHz以上)におけるものの方が高い。 今後の研究課題として、準近傍界曝露に対しても同様の考察を行い、近傍界・遠方界曝露の場合に得られる結果との相違について議論すること、また、考察対象を眼球のみならず、人体全身に拡張することが挙げられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 北 真登, 平田晃正, 塩沢俊之: "ダイポールアンテナから放射される電磁波による眼球内温度上昇"電子情報通信学会論文誌. Vol.J85-B, No.1. 132-139 (2002)
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[Publications] 森田匡, 平田晃正, 塩沢俊之: "局所SARを用いた人体頭部内温度上昇の推定"電子情報通信学会論文誌. Vol.J85-B, No.5. 723-725 (2002)
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[Publications] A.Hirata, H.Watanabe, T.Shiozawa: "SAR and temperature rise in the human eye induced by obliquely incident plane waves"IEEE Transactions on Electromagnetic Compatibility. Vol.44, No.4. 594-596 (2002)
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[Publications] A.Hirata, M.Morita, T.Shiozawa: "Temperature increase in the human head for dipole antenna at microwave frequencies"IEEE Transactions on Electromagnetic Compatibility. Vol.45,No.1(掲載予定). (2003)