2002 Fiscal Year Annual Research Report
電子線露光法による極微細平面・立体量子構造の作製とその評価に関する研究
Project/Area Number |
14750231
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山口 雅史 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (20273261)
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Keywords | 分子線エピタキシー法 / GaAs / カソードルミネッセンス / ファセット / 量子井戸 / 表面拡散 / 電子線露光法 / 立体量子井戸構造 |
Research Abstract |
本年度は,GaAs加工基板上への結晶成長をおよびエッチングによる立体量子構造の作製を行った. まずGaAs加工基板上への成長では,加工基板としてGaAs(100)同一基板上に深さ300nm,幅1mmと3mmのメサ状ストライプ構造をフォトリソグラフィーとアンモニア系のウェットエッチング法を用いて準備し,この基板を通常の分子線エピタキシー法(MBE法)を用いてGaAs/AlGaAs量子井戸構造の成長を行った.ストライプ構造の幅を変えることによって,同一基板上に成長した量子井戸構造の膜厚が異なることをカソードルミネッセンス法を用いたスペクトル解析によって確認した.この量子井戸構造の膜厚の異なる理由としては,加工基板にまずバッファー層を成長させることで(111)ファセットが形成され,この後に量子井戸を成長する際にファセットからストライプ構造のトップ((100)面)に表面拡散してくるGaが原因となっていると考えられる.1mmおよび3mmの試料ともに形成されるファセットの幅は同じ長さになるので,このファセット部分に付着したGaの量は同じである.従って,(111)ファセット面から拡散する(100)面全体に拡がった場合に,3mmのストライプ構造では(100)面の幅が大きいために拡散してきたGaの量が1mmのストライプ構造よりも相対的に少なく,量子井戸の厚さが1mmより薄くなったものと考えられる. 立体量子構造の作製においては,MBE法により二重量子井戸構造を作製し,これをフォトリソグラフィーと電子線(EB)露光法,ならびにウェットエッチング法を用いて単一量子井戸構造を有する光導波路上に数百nmの量子ディスク構造を作製し,この部分にのみ二重量子井戸構造を形成することに成功した.この構造を用いることにより光演算を実現させる可能性が得られた.
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