2002 Fiscal Year Annual Research Report
高度情報化時代実現の鍵を握るノイズ機構の解明に関する研究
Project/Area Number |
14750265
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
上野 弘明 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助手 (50314729)
|
Keywords | MOSFET / 1 / fノイズ / 熱ノイズ / 回路シミュレーション用モデル |
Research Abstract |
本年度は,まずMOSFETにおける熱ノイズの測定系を立ち上げ,実際に測定を行った。熱ノイズは微小かつ周波数が高い帯域(GHz)で支配的となるため,制度の良い測定が困難である。そのためシグナルアナライザで直接ノイズスペクトルを観察する方法ではなく,MOSFETにノイズを入力し,入出力間の信号/ノイズ(S/N)比の劣化から見積もる方法で行った。この方法を用いれば,高周波で問題となるノイズスペクトラムの反射も,入出力間のマッチングをとることで解決できる。 実際に立ち上げた熱ノイズの測定系を用いて,微細MOSFET(ゲート長0.13μm〜0.15μm)の熱ノイズをさまざまなバイアス条件下で測定した。得られたS/N比を元に,MOSFETおよび測定回路の増幅率を用いてMOSFET自身から発生している熱ノイズを正確に抽出することができた。 抽出した微細MOSFETの熱ノイズの価を元に,回路シミュレーション用の熱ノイズモデルの開発を行った。MOSFETの熱ノイズモデル化は,熱ノイズ自体が温度とMOSFETのチャネルコンダクタンスに比例することから,その比例定数γを求めることで行った。ゲート長が短くなるとγが1よりも大きくなることが今までの実験によって確かめられているが,その原因についてはっきりと解明されていなかった。しかし,本研究における測定とモデル化から,MOSFETのチャネル内におけるキャリア移動度の分布が原因であることがわかった。また,そのモデルを用いて熱ノイズの測定値をパラメタ無しで再現することが確かめられた。
|